寒さが続くこの季節は、「鼻づまり」で悩む人が多くなります。漢方では、鼻は五臓の肺と関連が深い器官と捉えており、肺が失調すると、鼻に反映され鼻づまりが生じます。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「漢方では、根本原因となっている肺の機能を漢方薬で立て直すことにより、鼻づまりを治療します。西洋医学では抗アレルギー薬などを処方して一時的に緩和しますが、漢方では鼻づまりの根本的な解消を進めます」と話します。
「きのうから寒けがして、鼻がつまっています。まったく鼻で呼吸ができない状態です」

Aさんは鼻づまりだけでなく、鼻水も出ます。鼻水はさらさらしています。舌には白い舌苔が薄く付着しています。
鼻づまりは、鼻腔を通る空気の流れがわるくなって生じる症状です。鼻中隔湾曲(彎曲)症など、鼻の骨や軟骨の変形などが原因となる場合もありますが、多くの場合、鼻づまりの原因は鼻腔内の粘膜の腫れにあります。
鼻腔内の粘膜には、たくさんの毛細血管が通っています。それらの毛細血管は、鼻炎、副鼻腔炎といった炎症などによって拡張し、その結果、鼻腔内の粘膜が腫れ、鼻づまりが生じます。
鼻づまりと関係が深いのは、五臓の肺
漢方では「肺は鼻に開竅(かいきょう)する」といい、鼻は五臓の肺と関連が深い器官と捉えています。鼻のことを肺竅(はいきょう)ともいいます。五臓の肺は、呼吸や体液代謝、体温調節などをつかさどる機能であり、臓器としては肺だけでなく、気管支、咽喉、鼻、皮膚などが含まれます。この五臓の肺が失調すると、鼻に反映され、鼻づまりが生じます。
肺は直接外気と接するので、外界の風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)といった病邪の影響を受けやすいのも特徴です。外界からの病邪によって引き起こされる病変を外感病(がいかんびょう)といいますが、この外感病の影響により鼻の機能が乱れ、鼻づまりになることも、よくあります。風邪や寒邪は、ウイルスや細菌などによる感染症に近い概念です。
漢方では、鼻づまりの根本原因となっている五臓の肺の機能を漢方薬で立て直すことにより、鼻づまりの治療をします。肺の機能には、五臓の肝(かん)や腎も深く関わっており、必要に応じてそれらの機能の改善も進めます。
外感病による鼻づまりの場合は、風邪や寒邪を漢方薬で除去します。
西洋医学では、抗アレルギー薬や抗生物質を用いて対症療法で症状を一時的に緩和します。漢方では、肺の機能を調えるなどすることにより、鼻づまりの根本的な解消を進めることになるわけです。