月経前にいらいら、めまい、むくみ、頭痛、過食などを起こすPMS(月経前症候群)。多くの女性がPMSに関わる悩みを抱えています。西洋医学では、経口避妊薬(ピル)や、抗不安薬などで諸症状を抑えることで、PMSの治療にあたります。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「漢方では、PMSが生じやすい体質そのものを漢方薬で改善していきます。ピルや抗不安薬を飲み続けることに抵抗のある人が漢方薬を選ぶケースは少なくありません」と話します。
「生理前に、頻繁にめまいに襲われます。胸の張りが強く、ときに痛みます」

Aさんは、日頃から疲れやすく、頭がぼうっとしがちです。ふらつきや、耳鳴りもあります。月経前には、目のかすみが強くなり、急に鼻血が出ることもあります。舌は紅い色をしています。
月経前症候群(PMS)とは、女性の排卵から月経開始までのあいだに表れる、さまざまな精神的、肉体的な不快な症状のことです。さほど気にならない人もいれば、日常生活や社会生活に支障が生じるほどの人もいます。程度の差はありますが、女性の6~8割程度が経験しているといわれます。とくに精神症状が強く、生活に支障が出るほどの場合は月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
みられる症状は多岐にわたり、下腹部の張りや痛み、乳房の張りや痛み、頭痛、肩こり、吐き気、腰痛、むくみ、体重の増加、にきび、肌荒れ、動悸、めまい、便秘、下痢、鼻血などの出血、といった身体症状や、いらいら、落ち込み、怒りっぽくなる、憂うつ感、わけもなく悲しくなる、情緒不安定、無気力、のぼせ、疲労倦怠感、不安感、集中力の低下、食欲増進、とくに甘いものが食べたくなる、強い眠気、逆に不眠、などの精神症状があります。
PMSには、排卵後に生じるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のバランスの変化や、その影響で起こる神経伝達物質の変動などが関係していると考えられています。西洋医学では、経口避妊薬(ピル)や、抗不安薬、抗うつ薬などを用い、PMSの諸症状を抑えることにより、治療にあたります。
漢方では、PMSが生じやすい体質そのものを漢方薬で改善することにより、PMSを治療します。ピルや抗不安薬を飲み続けることに抵抗のある人などが漢方薬を服用するケースが少なくありません。