月経以外に性器から出血する「不正性器出血」で悩んでいる女性は少なくありません。不正性器出血は、ホルモンの異常や、子宮筋腫、子宮内膜症、病原菌の感染、ストレスなどさまざまな要素が関係しています。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「正常な月経の出血をつかさどっている機能を漢方薬で立て直すことにより、不正性器出血の治療をします」と話します。
「このところ、ときどき生理期間でないときに出血があります。ときに多く出ますが、だらだらと少しずつ続く場合もあります」

Aさんの不正出血は、疲れているときに出るようです。冷え症で、手足が冷えます。疲れやすく、食欲はあまりありません。ときどき立ちくらみや息切れがあります。舌は白っぽく、ぽってりとしています。
月経以外に性器から出血することを不正性器出血といいます。ホルモンの異常や、炎症、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内ポリープ、病原菌の感染、腫瘍、その他さまざまな病気や、ストレスなども関係しています。
漢方では、正常な月経の出血をつかさどっている機能を漢方薬で立て直すことにより、不正性器出血の治療をします。子宮筋腫など、不正性器出血の明らかな器質的な原因がある場合は、そちらの病気の漢方治療も並行して行います。
不正性器出血と関係が深いのは、衝脈と任脈
不正性器出血のことを中医学で「崩漏(ほうろう)」といいます。とくに出血量が多い場合を「崩中」や「経崩」、少量がだらだらと続く場合を「漏下」や「経漏」と称しますが、両者は交互に出現することが多いので、合わせて崩漏と呼んでいます。
不正性器出血(崩漏)と関係が深いのは、衝脈(しょうみゃく)、任脈(にんみゃく)という経絡(けいらく)です。経絡とは、私たちのからだ全身にくまなく分布している通路です。人体の基本的構成成分である気・血(けつ)・津液(しんえき)がその経絡を運行して人体をひとつの有機体として結びつけ、機能させています。
経絡のうち、その主幹部分を経脈(けいみゃく)といいます。経脈は、人体の深部を巡行します。それら経脈のうち、とくに女性の生理と関係が深いのが、衝脈と任脈です。衝脈と任脈を合わせて衝任(しょうにん)と呼ぶこともあります。
衝脈は生殖器を中心に広がる経脈で、五臓六腑(*1)の気血を調整し、さらに生殖能力をつかさどり、月経を調整する働きがあります。「五臓六腑の海」、あるいは「血海」とも呼ばれます。動脈系を中心に分布し、卵巣機能と関係が深い経脈です。衝脈を通じて子宮から出る血液が、月経となります。