最近のデスクワークはパソコンでするのが当たり前。日中はパソコンの画面を眺め、さらにプライベートな時間もスマホを手放さない――。こんな生活を続けると、当然目も疲れます。慢性化すると、視界がかすんだり、頭痛や肩こりなどの不調を引き起こすこともあります。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「目の疲れ・眼精疲労には、五臓の『肝』が深く関わっています。漢方では、肝の気血を漢方薬で調整することにより治療を進めます」と話します。
「眼精疲労です。目がすぐ疲れます。まぶたがピクピクけいれんするのも気になります」

Aさんは、目がかすんで、目の乾燥感や、ごろごろとした異物感があります。生理中に悪化します。目が充血することもあります。爪がもろく、肌のくすみも気になります。唇は乾燥し、あれやすい状態です。舌は淡紅色をしています。
毎日仕事で朝から晩までパソコンを眺め、プライベートな時間でもスマホや携帯電話の画面とずっとにらめっこ。現代は、目にとって過酷な時代のようです。
歩きすぎると足が疲れるように、目も使いすぎると疲れます。慢性化すると、目に痛みを感じたり、視界がかすんだり、さらに頭痛や嘔吐、肩こりなど、眼以外にも不調が引き起こされます。こうなると、立派な眼精疲労です。
目の使いすぎ以外にも、残業や夜更かし、睡眠不足によるからだの疲れ、ストレスや緊張による精神的な疲れからも、目の疲れや眼精疲労が生じます。全身の健康状態が目にあらわれる場合も少なくありません。
目の疲れ・眼精疲労と関係が深いのは、五臓の肝
中医学では、人体を五臓六腑(*1)という機能的単位でとらえており、内臓だけでなく、すべての組織や器官はいずれかの臓腑に所属します。そして目については、「肝(かん)は目に開竅(かいきょう)する」といい、五臓の肝と関係が深い器官と捉えています。開竅とは、五臓の機能が反映されやすい器官のことを指します。目のことを肝竅(かんきょう)ともいいます。
肝のおもな機能は、「疏泄(そせつ)をつかさどる(からだの諸機能を調節する)」ことですが、上述のように目と関係が深く、さらに「血(けつ)を蔵す」機能もあり、血を貯蔵して循環させる臓腑でもあります。血とは、全身を滋養する作用、およびその物質的基礎を意味します。具体的には、血液や、血液が運ぶ栄養、あるいは循環に近い概念です。
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