頭が痛いとパフォーマンスが落ち、仕事の効率が低下してしまいます。まして慢性的な頭痛体質ともなると…。「病気が原因で頭痛を起こしている場合を除くと、漢方では“体内を循環する”『気』『血(けつ)』『津液(しんえき)』の滞りが背景にあると考えます。その乱れを調えることが、改善につながります」と幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは話します。
「一日中パソコンに向かって仕事をしているせいか、慢性的な“頭痛持ち”です。肩だけでなく、首や頭皮まで凝っています。病院では緊張型頭痛と診断されたことがあります」
Aさんは頭痛がひどくなると、めまいや目の充血も生じるといいます。頭をはちまきで締め付けられるような痛みだと話します。赤みの強い舌の色をしていました。
頭痛は、(1)かぜをひいたときに頭が痛むなど、原因がはっきりしている場合、(2)明らかな原因はないけれども慢性的な痛みがある、あるいは繰り返す場合―に分けられます。漢方では前者を「外感(がいかん)頭痛」、後者を「内傷(ないしょう)頭痛」と呼んでいます。
外感頭痛の多くは急性であり、その原因が排除されれば痛みは治まります。一方、内傷頭痛は、体質的な要因が深く関与していると考えます。「頭痛体質」そのものを改善しない限り、痛みが繰り返し襲ってきます。
内傷頭痛の場合、その都度鎮痛剤で痛みを抑えるのも1つの方法ですが、漢方薬で根本から改善し、鎮痛剤を持ち歩かなくてもいい生活を目指すのも一法です。
体内の流れが悪くなると、痛みが生じる
中医学には「通じざれば、すなわち痛む(不通則痛)」という言葉があります。体内で「気」「血(けつ)」「津液(しんえき)」の流れがスムーズでないと痛みが生じるという意味です。気は生命の根源であるエネルギー、血は血液や血液が運ぶ栄養に相当するもの、津液は血液以外の体液です。
気・血・津液が適量で、さらさら流れていると、私たちは健康です。しかし、これらの流れが悪かったり、多すぎたり少なすぎたりすると、さまざまな体調不良が現れ、病気を発症します。特に流れが滞ると、痛みが生じやすくなります。