第一子の出産後、第二子を希望しているのに妊娠しないのが続発性不妊症、いわゆる「二人目不妊」です。晩婚化などの影響により二人目不妊も増えています。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「二人目は、一人目を妊娠、出産した後での妊娠になるので、一人目の場合とは本人の体質も環境も異なります。このため漢方では、一人目とは異なったアプローチで二人目の不妊治療を行います」と話します。
「二人目をなかなか授かりません。一人目は3歳になっています」

Aさんは、一人目は自然妊娠でした。早く二人目がほしく、1歳になる前に断乳しましたが、なかなか妊娠しません。月経は戻っていますが、やや遅れ気味で、経血量も少なくなっています。口の渇き、手足のほてりが感じられます。舌は暗紅色で乾燥しています。
第一子を妊娠、出産したあと第二子を希望しているのに2年以上たっても妊娠しない状態を、続発性不妊症と呼びます。いわゆる、二人目不妊です。この二人目不妊も、晩婚化などの影響により、第一子の不妊症(原発性不妊症)同様、増えています。
「一人目を妊娠、出産できたので、二人目も簡単にできるだろうと思っていたのになかなか妊娠できない」というケースが多いようです。二人目は、一人目を妊娠、出産したあとの状態での妊娠なので、一人目の場合とは体質も環境も異なります。
漢方ではそのような背景を考慮し、一人目とは異なったアプローチで二人目の不妊治療を行います。
二人目不妊と関係が深いのは、五臓の腎
人目不妊と関係が深いのは腎(じん)です。腎は五臓六腑のひとつで、その機能(腎気)は、生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質である精(せい)を貯蔵し、人の成長・発育・生殖、ならびに水液や骨をつかさどることです。
二人目不妊でよくみられるのは、一人目の出産による体力や生命力の消耗が尾を引いているケースです。これを「腎陰虚(じんいんきょ)」証といいます。陰は陰液のことで、人体の構成成分のうち、血(けつ)・津液(しんえき)・精を指します。腎の精や血を、腎精、腎血とも呼びます。女性ホルモンとも関係が深い概念です。これら腎の陰液(腎陰)が不足している体質が、腎陰虚です。
腎精や腎血は出産により大きく失われるので、出産の直後は腎陰虚に陥っても心配には及びません。一般には産後、次第に体力を回復してこの証から立ち直ります。しかし体調の回復がゆっくりだったり進まなかったりすると腎陰虚の状態が続き、妊娠できなくなります。この証の場合は、腎の精気などの腎陰を補う漢方薬を用いて、二人目不妊を治します。
もうひとつ、忘れてはならないのが、加齢による不妊です。妊娠する確率は、年齢とともに低下します。生殖をつかさどる五臓の腎の機能が加齢により低下するからです。これを「腎虚(じんきょ)」証といいます。二人目のときは、一人目の妊娠、出産時より、間違いなく年をとっています。つまり腎虚が進んでいます。この場合は、腎を補う漢方薬で、二人目不妊に対処します。