副鼻腔炎は、鼻腔の周辺にある「副鼻腔」に炎症が起きる病気で、日本人がかかるケースが多い鼻の病気の1つです。鼻づまり、鼻水、頭痛や顔面痛など、さまざまな症状が生じます。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「かぜなどで引き起こされる急性副鼻腔炎なら、抗菌薬を服用するうちに治癒することが多いのですが、長期化して慢性化した場合は、漢方薬による体質改善治療が効果を発揮します」と話します。
「慢性副鼻腔炎です。子どもの頃から鼻がすっきりしません。頭がぼうっとすることもあります。病院でネブライザー治療もしましたが、あまり効果は感じませんでした」

Aさんは、集中力が続かず、受験期には苦労しました。口がよく渇きます。鼻腔も乾燥しているように感じることがあります。口臭が気になります。舌は紅く、舌苔はほとんど付着していません。
副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)の粘膜が炎症を起こしている病態です。副鼻腔は鼻の中(鼻腔)とつながっているため、外界からの細菌感染や、ハウスダストや花粉のアレルギー、たばこの煙の刺激などにより、炎症を起こます。鼻づまり、鼻水(鼻汁)、頭痛や顔面痛など、さまざまな症状が生じます。
副鼻腔は左右対称に顔面に広がっており、両目の間にある篩骨洞(しこつどう)、頬の裏側にある上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、鼻の上の額の裏にある前頭洞(ぜんとうどう)があります。これらの副鼻腔は粘膜でおおわれており、正常な状態では空気で満たされています。
この副鼻腔にウイルスや細菌が感染するなどして炎症が生じると、急性副鼻腔炎になります。篩骨洞に炎症が生じると、目の内側が痛みます。上顎洞の炎症では、頬、鼻のまわり、歯のあたりが痛みます。蝶形骨洞に炎症が生じると、頭痛や頭重感が生じます。前頭洞の炎症では、額が痛くなります。痛みのほかに、炎症による鼻づまりが生じます。炎症が化膿して生じた黄色い膿が副鼻腔からあふれ出して鼻水に混ざり、粘稠な黄色い鼻水が出ます。
副鼻腔粘膜の炎症が治りきらずに長引くと、慢性副鼻腔炎になります。膿を排泄する機能が低下するために膿が副鼻腔にたまることが多く、蓄膿症とも呼ばれています。炎症が長引くことにより粘膜の腫れが慢性化し、鼻づまりが悪化します。鼻をかんでもかみきれない感じで、すっきりしません。粘膜が腫れて鼻腔との通路がふさがれると、炎症は悪化します。鼻の奥で不快な臭いがするようになります。腫れた粘膜が鼻腔内に広がるとポリープ(鼻茸:はなたけ)ができます。鼻水は緑色になることも多く、長期化すると白っぽくもなります。
鼻づまりや鼻水のほかに、鼻水が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)も起こります。咳が出ることや、鼻声になることもあります。長期化して粘膜や神経が障害されると、匂いがわからなくなります(嗅覚障害)。味覚障害にもなります。膿の臭いや、後鼻漏、口呼吸による口腔内乾燥の影響により、口臭が生じます。長期化するにしたがい、疲労感や集中力の低下もみられるようになります。中耳炎や咽頭炎、気管支炎、視力の低下など、ほかの病気を引き起こすこともあります。
かぜやインフルエンザに罹患して引き起こされる急性副鼻腔炎なら、病院で処方される抗菌薬や抗炎症薬を服用するうちに自然に治癒することが多いのですが、長期化して慢性副鼻腔炎となった場合は、漢方薬による体質改善治療が効果を発揮します。
この記事の概要
