ストレスや緊張、疲労、ホルモンバランスの変化などにより、自律神経のバランスが崩れ、さまざまな体調不良を生じる「自律神経失調症」。ストレス社会となった現在、自律神経失調症になる人は後を絶ちません。西洋医学では一般に、抗不安薬、抗うつ薬などで対処します。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「漢方では自律神経系と関係が深い五臓の肝や心の機能を漢方薬でととのえ、根本的な治療を進めます」と話します。
「新しい職場の雰囲気に慣れず、体調が悪化してしまいました。動悸がして、まったく眠れません。病院で自律神経失調症と診断されました」

Aさんの新しい職場は残業が多く、人間関係のストレスも強く感じます。いらいら、のぼせなどの症状もあります。病院では抗不安薬と睡眠導入剤を処方されました。別の病院にも行ってみたところ、軽いうつ病と言われ、抗うつ薬を処方されました。いずれもちょっと違うような気がして、飲む気になれません。友人からは、会社を辞めれば体調がよくなるだろうと言われますが、そうもいきません。舌は赤く、黄色い舌苔が付着しています。
自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れてさまざまな症状が出る病気です。
自律神経は、心臓の拍動、肺での呼吸、胃腸での消化吸収、皮膚での発汗など、生きるために必要なさまざまな機能を遂行し、調整する機能のひとつです。ふだんは交感神経と副交感神経とがシーソーのようにバランスよく働くことによって、それらの機能がうまく調整され、適切に遂行され、わたしたちはとくに心臓や肺や胃腸の存在を意識することなく、穏やかに日常生活を送っています。
ところが、この自律神経系が、ストレスや緊張、疲労、ホルモンバランスの変化などの影響を受けて乱れると、上記の機能がふだんどおりに穏やかに働かなくなり、さまざまな体調不良が生じます。これが自律神経失調症です。
見られやすい症状は、肩こり、頭痛、めまい、吐き気、腹痛、下痢、疲労倦怠感、不眠、動悸、いらいら、冷え、のぼせ、発汗など、多岐にわたります。これらの症状は、実際にそれぞれの内臓や組織がわるくなっているわけではないので、病院の検査で異常がみつからないことが多いようです。
西洋医学では、抗不安薬、抗うつ薬、自律神経調整薬、睡眠導入剤などで症状を和らげます。
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