口の中の強烈な痛みがつらい口内炎。一過性の口内炎は西洋薬で対処すればすぐに治りますが、問題は、なかなか治らない口内炎や再発を繰り返すケースです。「漢方では、口内炎は体内の過剰な熱(熱邪)が、口の中を刺激してできると考えます。熱を冷ますことで、口内炎ができやすい体質を改善していきます」と幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは話します。
「口内炎がほおや唇の内側に、いくつもできてしまいました。じっとしていてもズキズキ痛みます。トマトなんかを食べると、涙が出るほど痛くて…。病院で処方された薬を塗っていますが、なかなか良くなりません。口内炎は年に何回かできます」
Aさんは辛いものや、味の濃いもの、脂っこいもの、熱いもの、肉類、アルコールが大好きだといいます。のどがよく渇き、水分を多く摂る一方で、口臭が気になるそうです。健康診断で「胃炎」や「胃潰瘍」を指摘されたことがあると話していました。赤い舌をしており、その上に黄色い舌苔(ぜったい)がついています。
口内炎は、口の中や舌の表面にできる炎症やびらん(粘膜のただれ)のことです。初めのうちは少し硬くふくらんで違和感がある程度でも、悪化すると痛みを伴うようになり、出血する場合もあります。誤って食事中にかんでしまい、涙が出るほどの痛みに襲われたり、Aさんのように食べ物がしみてろくに食事ができなかったりしたことがある人は少なくないでしょう。
口内炎は一般に、抗炎症成分を含む軟膏や貼り薬で治療していきます。一過性の口内炎なら、数日から数週間で治るでしょう。しかし、口内炎が口の中にいくつもできている状態や繰り返す場合は、少し話が違います。このような口内炎は炎症を鎮める薬を使っても、治りにくいといわれています。「口内炎ができやすい体質」そのものを漢方薬で改善することを考えましょう。