働く女性に多い不調の一つ「月経不順」。前回は、漢方視点の『月経不順体質』改善のアプローチ法と、月経不順の中でも「周期」が乱れるタイプの対策を紹介しました。後半となる今回は、月経の“量の異常”の対処法を紹介していきます。幸福薬局の薬剤師、幸井俊高さんは、「経血量の異常も、根本的な不調が体内にあり、その結果としてあらわれてきたものです。患者さんの『月経不順体質』そのものを漢方薬で改善して、経血量の異常を解消していきます」と話します。
前回は、生理が遅れる/早まるなど“周期の異常”について対処法をまとめました。今回は、月経の量(経血量)が少ない/多いなどの“量の異常”について見ていきましょう。
「経血量が多く、なかなか生理が終わりません。経血に血のかたまり(血塊)が混じります」
経血量の異常は、前回の月経周期の異常と同様、根本的な不調が体内にあり、その結果としてあらわれてきている病態です。体調が万全ならば、経血量の異常は生じません。けがをして血がたくさん出るのとは訳が違います。漢方では、患者さんの「月経不順体質」を漢方薬で改善することにより、経血量の異常に対処していきます。
経血量の異常と関係が深いのは、血・腎・痰湿

経血量の異常(量が多い=過多月経、量が少ない=過少月経)と関係が深いのは、月経周期の異常(頻発月経、稀発月経)の場合と同じく、やはり「血(けつ)」です。血は人体を流れる構成成分のひとつで、血液や栄養のことです。この血の状態が失調すると、経血量の異常がみられるようになります。血の流れを推動する「気」の失調も、経血量の異常に関係してきます。
五臓(*1)の「腎(じん)」も関係があります。腎は人の成長・発育・生殖をつかさどるのがおもな機能ですが、「腎は血を生ず」といい、血を生み出す臓腑のひとつでもあります。この腎の失調から、経血量の異常が生じます。
*1 五臓とは、体の機能を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という5つに分けたものです。五臓は、個別の内臓器官を意味するものではなく、人体の機能的単位になります。漢方ではこれらのバランスを調えることで病気を治療します。
体内に過剰な水液がたまった「痰湿(たんしつ)」も深く関わっています。食べすぎ、食事の不摂生、過度の飲酒などにより、この証になります。なお、かぜをひいたときに出る痰とは関係ありません。この痰湿が血の流れを阻害すると、経血量が少なくなります。痰湿を取り除く漢方薬で「月経不順体質」を改善し、過少月経を解消していきます。
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