「医療とは、医師から受けるもの」、こんな一方通行のイメージを私たちは抱いてしまいがちです。しかし、最善の医療は患者がかしこく「手に入れるもの」という発想を持つと、今よりももっと満足のいく治療を受けられたり、医師とのコミュニケーションをもっとうまくできるようになるはずです。臨床経験が豊富で、遠方からの患者を多く受け入れる緑蔭診療所の橋口玲子先生に、知っておくと絶対役立つ、患者の心得を指南してもらいます。
街中には大小様々な病院・診療所があります。あなたは具合が悪くなったとき、どの医療機関にかかりますか? 近くの診療所? それとも大きな大学病院?? 大学病院には有名な医師や専門医がたくさんいて手厚い医療が受けられそうなイメージを持たれそうですが、実際にはどうなのでしょうか。
テレビに出ている有名な先生に診てもらいたくて大学病院に行ったのに、延々待たされた挙げ句、担当したのは若い医師。しかも診察は3分で終わってしまって、がっかりしたよ

Aさんのように体に心配なことが起こったとき、「まずは名医のいる大学病院に行けば安心」と思う人が多いようです。
確かに書店に行けば「名医がいる病院」「○○治療の得意な病院ランキング」といった本が並び、有名な先生に診てもらえば安心だろう、と思うお気持ちはわかります。
しかし、大学病院に所属する医師は定期的に他の病院に異動したり、開業したりと、入れ替わりが激しいのが実情です。この診療科に行けば有名な先生に診てもらえる、という保証はありません。
また、Aさんは若い医師に担当されてしまいがっかりした、と言っていますが、その点に関しては、次に説明する大学病院ならではの特徴を理解していただかなくてはなりません。
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- 大学病院には、名医もいれば研修医もいる