大学病院は医師の養成機関
大学病院と呼ばれている医学部や医科大学の付属病院は、医師の養成機関であり、専門分野の研究機関です。
そこでは、研修医や診療経験の浅い医師が、教授など医学部の教員やベテラン医師から手技を習ったり、経験を積むために在籍しています。最初に患者の話を聞き、以降の診療方針を考えなくてはならない「初診」を研修医が担当することはあまりありませんが、教授や准教授だけでなく、助教や卒業後5年くらいの若手の医師が担当することもあります。
また、特定分野の病気の治療で“権威”と呼ばれる教授は、研究者でもあります。もちろん教授は一般的な診療もできますが、基本的には特定の分野について専門的に(狭く、深く)研究している医師たちです。ですので、ちょっとした症状で教授の診察を受けるのは、ミスマッチになりやすいのです。
3時間待ちの3分診療には理由がある
大学病院での診療は、「3時間待ちの3分診療」とよく例えられます。
予約をしていても、半日は待たされるのが当たり前。これは、患者の絶対数が多いためです。ようやく診察となっても、医師が電子カルテに入力しながら、一言、二言説明して終わり…。そんな診療が大多数であることは憂うべき状況なのですが、医者の側も「患者にゆっくりと説明し、電子カルテへの入力は後で」なんてのんきなことを言っていると、仕事が終わらなくなってしまうのが現実です。
軽い症状でも「大学病院で診てもらえば安心」と、患者が集中することが、病院で働く医師の過重労働の一因になっています。このため、大学病院ではかかりつけ医からの診療情報提供書(いわゆる紹介状)を持った患者さんのみを診療する、という基本姿勢をとっています。診療情報提供書なしで診てもらいたいという場合は、初診料が割高になります。
入院しても気が休まらない?
また、入院治療が必要となった場合にも「大学病院」にこだわる人がいます。しかし、どんな場合でも大学病院がいいとは限りません。
たとえば心不全のために大学病院で入院治療を受けたことのある方が肺炎になったとします。肺炎は軽いが持病もあるので入院して治療しましょうという場合、大学病院から別の病院を紹介されることがあります。肺炎の治療や心不全の経過観察は、一般的に、どこに入院しても、受けられる医療水準は大きくは変わらないからです。紹介先の病院の医師も、その多くは大学病院などで修行経験を積んできたはずです。
大学病院の短所 まとめ
- 大学病院だからといって「名医」にかかれるわけではない
- 待ち時間が長く、診療時間が短いことが多い
- 入院中、落ち着いて過ごしにくい
大学病院は急性期や重症の患者さんを扱うのが目的の医療機関ですから、夜中でも人が走り回り、ざわざわして全然気が休まらない、ということがよくあります。患者さんがゆっくり過ごせることを優先するなら、自宅から近く、家族が面会に通いやすく、こぢんまりとした規模の病院のほうがはるかに快適だといえるでしょう。
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