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ベテランドクターが教える 上手な医者のかかりかた

女医に対するみんなの誤解

性別にとらわれすぎると、よりよい医療を受けるチャンスを逃す

 橋口玲子=緑蔭診療所医師

女医のほうが「オンナの気持ちがわかる」?

「同性医師の方が自分の気持ちが伝わりやすく、わかってくれるはず」と期待しがちです。(©Ferli Achirulli-123rf)
「同性医師の方が自分の気持ちが伝わりやすく、わかってくれるはず」と期待しがちです。(©Ferli Achirulli-123rf)

 Hさんのように、更年期の悩み、ましてや夫婦関係のことは男性医師には話しにくい、恥ずかしいという気持ちはよくわかります。女性なら乳房や女性器の話、男性なら泌尿器の話は非常にプライベートな要素を含みます。そのため、異性の医師に相談することに抵抗を感じる、というのはごく自然なこと。「同性医師の方が自分の気持ちが伝わるし、わかってくれるはず」と期待する人は多いかもしれません。

 しかし、医師の側からすると、性器に関する話であっても、夫婦関係の話であっても、患者さんの不調や悩みの原因を突き止め、正しい診断をつけるために必要な情報の1つにすぎません。医師は「限られた時間の中で、いかに患者さんの訴えを整理し、診断を診立て、最適な治療方法を選択するか」ということに意識を集中しています。さまざまな患者さんを診てきて、経験も豊富ですので、患者さんが「恥ずかしい」と思う話でも、ドライに受け止めているのが普通です。

 ですので、「診察時に話しにくい、恥ずかしい」という気持ちはいったん忘れて、「治療を受けて、症状を改善したい」という思いを優先し、勇気を出して相談してもらえたらと思います。

女性特有の病気でも、専門外の女性医師より専門の男性医師

 確かに、男性医師は女性特有の症状を経験することができません。ですが、大事なのはその不調を「医師自らが体験している」ことではなく、「患者さんからの訴えを聞いて、どういう状況なのか想像できる、理解できる能力を持っている」こと、そして「原因や治療法を見極める知識と経験がある」ことではないでしょうか。

 実際、緑蔭診療所の院長である夫は婦人科医で漢方専門医ですが、月経前症候群(PMS)や更年期障害の女性をたくさん診ています。これらの不調の多彩な身体症状と精神症状がどのように現れ、患者さんがどんなふうに苦しんでいるかを、女性である私よりもはるかに理解しています。私自身はPMSも更年期障害も幸い経験しなかったので、PMSのめまいは人によっては、「突然、髪の毛をつかまれて後ろへ引き倒されるような感じ」だと彼に聞いてびっくりしたことがあります。つまり、女性特有の病気であっても、専門外の女性医師より専門の男性医師の方が、よほど患者さんの助けになるのです。逆もまた然りです。

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