お薬手帳は世界でたった一つの“あなたの治療経歴書”
お薬手帳についてこんな経験はありませんか?
- 薬局でもらったシールを貼り忘れる、紛失する
- シールは貼っているものの、時系列がめちゃくちゃ
- 勤務先の近くのクリニック、かかりつけ医などお薬手帳を複数持っていて、それぞれを使い分けている
私はEさんが持っていたお薬手帳を見せてもらうことで、薬疹かどうかについて判断することができました。手帳にこれまでの処方履歴が一括管理されていたことが役に立ったのです。受診する時間を作り、医療費を支払っているのに、渡された情報(シールや手帳)をいいかげんに扱うのは、もったいないことです。
特に慢性疾患の治療をしている方は、初めてかかる医療機関でお薬手帳を医師に提示すれば、自分で多くを説明しなくとも医師は客観的に判断してくれます。お薬手帳はきちんと管理して、その情報を活用することがキモなのです。
お薬手帳を上手に活用すると得られるメリットは他にもたくさんあります。
お薬手帳を使うメリット
- 診療科をまたいだり、複数の医療機関にかかっている場合、飲み合わせや薬の重複をチェックできる。副作用や過量投与によるリスクを減らすことができる。
- 自分が急に具合が悪くなったときにも、自分の代わりに自分の情報を伝えてくれる。
例えば、整形外科で処方された血管拡張作用のある薬と、内科で処方される血圧を下げる薬、血栓を作りにくくする薬などを一緒に飲むと効果が強まってしまうことがありますが、患者さんは「整形外科」「内科」の薬はまったく別もの、と考えて服薬について告げてくれなかったり、薬の内容を把握できていないことがよくあります。
また、「ちょっと前に扁桃炎になった」という患者さんに、「いつですか?」と言っても「えーっと、2~3カ月前かなぁ…」と記憶があやふやなときにも、お薬手帳があれば、あなたの代わりに必要な情報を伝えてくれるのです。
お薬手帳を活用しましょうとお話しすると、「お薬のことは分からないから…」と敷居が高く感じられるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。もらったシールをその都度、忘れずに貼っていけばいいのです。さらに、次の診察までに起きた“気になる出来事”を、メモをしておくとよいでしょう。例えば、疑わしい発疹が出た場合には、処方された薬のシールの近くに「●月●日、かゆみはないが赤い発疹が出た」と書き加えてもらうと、とても診療の助けになります。
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