健康に気をつけるべき、体に悪い習慣は改めるべき、とわかっていても、「そんなの無理だよ、できないよ」というのが、日々忙しく働く人たちのホンネ。落語家であり医学博士でもある立川らく朝さんが、現代社会に生きるビジネスパーソンへの共感を込めてつづる健康エッセイ。読んでほっこり癒されて!

最近の缶コーヒーは種類が多くてよく分からない。店番のお婆ちゃんに聞いても耳が遠くて聞こえない。
「スミマセン、これ、無糖ですか」
「はい???」
「だからあ、無糖なの加糖なの、それとも微糖なの」
そうしたらちょっとムッとして、
「あたしゃ、佐藤ってんだけどね」
昔からコーヒーは好きで、もうほとんどコーヒー中毒。朝なんかコーヒーを飲まないと1日が始まらない。今はもう余裕がなくてやらないけど、以前はペーパードリップでコーヒーを入れていました。朝なんぞは、フレンチローストの粗挽豆に沸騰したてのお湯をじわっと垂らす。できたての濃いコーヒーに熱々のミルクを注いでカフェ・オーレ、脇にはクロワッサンとブルーベリージャムとくれば、ちょっとお洒落でしょ。
でもドリップコーヒーっていえば、中学生時代にやった理科の実験を思い出しません? ビーカーの上にロートを載せて、ろ紙でいろいろ濾過する、やってることは同じなんだよね。朝っぱらから台所で理科の実験してるかと思うと、お洒落でもナンでもなくなっちゃう。
ところで、人間の身体にもこんなロートと濾紙みたいな濾過装置があるんです。それは腎臓なんですね。血液を濾過して、要るものと、廃棄するものに分けています。最終的には不要なものを老廃物として水と一緒に捨てるのですが、これが尿というわけ。
- 次ページ
- 痛風患者の養成所