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立川らく朝の「わかっちゃいるけど…」

敵を知り己を知れば

食中毒なんか怖くない

 立川らく朝

アジをタタイたあとは

 夏場、魚貝類で起きる食中毒のほとんどは、腸炎ビブリオという細菌感染による急性胃腸炎です。この細菌、塩水が好きだから海の中にいて、暑いと大変な勢いで増殖するんですね。だから当然、夏場の魚介類にくっついてるわけです。

 たまには家族サービスしようってお父さん、スーパーでアジを買って、炎天下をぶら下げて歩いて帰って、「ちょっとの間だから」とそのまま部屋に放置しておいた。でもこんなことをしてごらんなさいな、腸炎ビブリオはとんでもない数になってるんです。このアジをタタキにして家族に食べさせようものならみんなお腹をやられて、「もう、お父さんのせいでしょ」と、今度はお父さんが袋ダタキにあう

 日本人は夏でもなんでも生で魚貝類を食べたがるから、腸炎ビブリオの感染は我々にとって宿命でもあるんです。だけどさ、アジのタタキは安くて美味しいし、イサキも刺身で食べたいし(イサキはタタキもかなりグーですよ。皮をさっと炙ってポン酢でね)、夏だからといってビブリオごときで刺身を諦めるわけにはいかないのですよ。さあ、めげずに大いに刺身を食べようじゃありませんか。これからの季節、日本では腸炎ビブリオとの闘いの火ぶたが切って落とされるのです(大袈裟だよ)。

今度はナンの刺身を食べようか

 昔から、敵を知り己を知れば百戦殆うからず、って言うじゃないですか。腸炎ビブリオは4℃以下ではほとんど増殖できないんですね。しかも真水に弱い。じゃあどうすればいいかというと、とにかく冷やしておく。冷蔵庫のチルドルームは4℃以下になってる(はず)だから、こまめに冷蔵すること。そして食べる前には真水でよく洗う。そして手や指、まな板などを介しての感染を予防するため、手や調理器具はよく洗う、心配な時は必ず加熱調理をして…まあね、細菌性食中毒の予防というのは誰が語っても同じです。こればっかりは落語家だからといってアレンジはできない、ここは書いていて歯がゆいところです。

 夏場の食中毒でもう一つ多いのが、サルモネラ菌による食中毒。こっちは動物の糞の中にいる細菌だから、魚よりも肉や卵を介して感染することが多いですね。やはり急性胃腸炎の症状を起こしてきます。いずれにしても予防法の原則は腸炎ビブリオの場合と大して変わりません。

 それでも感染してしまったら、それは私のせいではありません。これはもう観念して、病院に行ってください。え、「下痢ごときでイチイチ病院に行けるか」、まあ現場の声としては当然かも。そういう時は、諦めて下痢しててください。症状がひどければ話は別ですが、軽度であれば下痢は止めないで、水分と塩分を補給(スポーツドリンクとかね)しながら症状が収まるのをじっと心静かに、いや、らく朝流はそうじゃないんですね。トイレにいてもなお、今度はナンの刺身を食べようかと闘志を燃やしながら、気持ちだけは強く持ちましょう。夏場に刺身を楽しむためには、根性と執念がいるんですよ。頑張れ、日本人!

らく朝築地独演会のお知らせ
築地本願寺ブディストホール(東京)
第31回 2015年7月8日(水)19:00開演
第32回 2015年8月4日(火)19:00開演
お申込みはオフィスらく朝(03-6661-8832)、詳細はHPで。

BS日テレ毎土曜日「Dr.らく朝笑いの診察室」放送中。
ラジオNIKKEI第3土曜日「大人のラヂオ」パーソナリティ。
立川らく朝(たてかわ らくちょう)
落語家(医学博士)
立川らく朝(たてかわ らくちょう) 1954年1月26日、長野県に生まれる。1979年、杏林大学医学部卒業。慶応義塾大学医学部内科学教室へ入局。主として脂質異常症の臨床と研究に従事。慶応健康相談センター(人間ドック)医長を勤める。
2000年、46歳にして立川志らく門下に入門、プロの落語家として再出発する。
2004年、立川流家元、立川談志に認められ二つ目昇進。医学博士でもある立場を生かし、健康教育と落語をミックスした「ヘルシートーク」、「健康落語」、「落語&一人芝居」という新ジャンルを開拓。マスコミなどで評判となり全国での公演に飛び回る毎日。また「健康情報を笑いを交えて提供する」というコンセプトで全く新しい講演会を精力的に開催。2015年10月1日付で真打昇進。笑いと健康学会理事。日本ペンクラブ会員。公式HPはこちら
(写真:増田伸也)

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