日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > 立川らく朝の「わかっちゃいるけど…」  > 軒を貸したら母屋を壊された  > 2ページ目
印刷

立川らく朝の「わかっちゃいるけど…」

軒を貸したら母屋を壊された

脂肪肝は恐ろしい居候

 立川らく朝

猛スピードのバスでどこへ行く

 脂肪肝がなぜ怖いかというと、まったく症状がないので知らないうちに進行してしまうんですね。肝臓での炎症が進むと「慢性肝炎」という状態になって、肝細胞の破壊もかなり進んできます。ついには再生能力の強いさすがの肝臓も再生しきれなくなっちゃう。かといって壊れた状態を放っておくわけにもいかないから、突貫工事で間に合わせるんですね。肝細胞を作るかわりに、線維という固い組織に置き換えてしまうのです。

 こうしてかなりの部分が線維組織になってしまうと、肝臓は縮んで固くなる。この状態が「肝硬変」なんです。これはもう元に戻らない上に、肝細胞がほとんどない状態だから、肝臓としての機能が果たせなくなってしまいます。最も嫌なのが、この肝硬変をベースに肝臓がんが発生してくるんですね。

 つまり脂肪肝は、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんという路線の始発駅というわけ。こんな路線の電車にだけは乗りたくないでしょ。でもね、この始発駅である「脂肪肝駅」行きのバスが出ていて、そのバスに乗ってる人が大勢いるんですよ。もしかしたらあなただって乗ってるかも。しかもこれ猛スピードで飛ばしてる。「このバスやけに飛ばすねえ」「だってこれ、都バスだもん」、なんて呑気なこと言ってる場合じゃない。そのバスの名前は、アルコールなんです。

ビヤホールで丼飯

 お酒というのは、とってもカロリーの高い食品なのです。よくビールを大ジョッキで何杯もぐいぐいやってる人がいるけど、あれカロリーでみると、ほとんど丼飯をかきこんでいるのと同じ。その上つまみに荒挽きウインナや揚げ物でしょ、太らない方がおかしい。カロリーオーバーに加えて、アルコールは肝臓に中性脂肪を溜めこむ作用があるのです。これでダブルパンチ。だからお酒は、すっごく脂肪肝を作りやすいんです。

 でもお酒を飲まない人でも脂肪肝になるんですね。やはり肝臓に炎症を起こして肝硬変や肝臓がんになるケースもあり、こういう脂肪肝のことを、「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」と呼んでいます。他にも糖尿病なども脂肪肝になりやすいといわれています。

 何と言っても予防は節酒と減量。飲み過ぎるとろくな事はないですよ。アルコールが代謝されるとアセトアルデヒドが体内で増えて、二日酔い(宿酔い)の原因になることは有名です。宴会で吐くまで飲んだ人がいて、「いったい何杯飲んだんだ」と聞いたら、「ハック72杯」…汚い洒落だ。じつはこのアセトアルデヒド、肝臓の細胞を痛めつけて肝機能障害に拍車をかけるんです。

 「脂肪肝が怖くて酒が飲めるかい」、気持ちは分かるんですけどね。二日酔いだって、やってみて初めて辛さがわかる。肝臓病だって同じですよ。辛い思いをする前に、無症状の脂肪肝のうちに後戻りした方がいいんじゃないの。お酒もスイーツもほどほどに。だって、どちらも一生付き合いたい仲間なんだもの。

らく朝築地独演会のお知らせ
築地本願寺ブディストホール(東京)
第30回 2015年6月8日(月)19:00開演
第31回 2015年7月8日(水)19:00開演
申込みはオフィスらく朝(03-6661-8832)、詳細はHPで。

BS日テレ毎土曜日「Dr.らく朝笑いの診察室」放送中。
ラジオNIKKEI第3土曜日「大人のラヂオ」パーソナリティ。
立川らく朝(たてかわ らくちょう)
落語家(医学博士)
立川らく朝(たてかわ らくちょう) 1954年1月26日、長野県に生まれる。1979年、杏林大学医学部卒業。慶応義塾大学医学部内科学教室へ入局。主として脂質異常症の臨床と研究に従事。慶応健康相談センター(人間ドック)医長を勤める。
2000年、46歳にして立川志らく門下に入門、プロの落語家として再出発する。
2004年、立川流家元、立川談志に認められ二つ目昇進。医学博士でもある立場を生かし、健康教育と落語をミックスした「ヘルシートーク」、「健康落語」、「落語&一人芝居」という新ジャンルを開拓。マスコミなどで評判となり全国での公演に飛び回る毎日。また「健康情報を笑いを交えて提供する」というコンセプトで全く新しい講演会を精力的に開催。2015年10月1日付で真打昇進。笑いと健康学会理事。日本ペンクラブ会員。公式HPはこちら
(写真:増田伸也)

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

  • もの忘れと認知症の関係は? 認知症リスクを下げる生活のポイント

    年を取っても認知症にはならず、脳も元気なまま一生を終えたいと誰もが思うもの。しかし、「名前が出てこない」「自分が何をしようとしたのか忘れる」といった“もの忘れ”は、中高年になると誰もが経験する。⾃分は周りと比べて、もの忘れがひどいのでは? ひょっとして認知症が始まったのか? と不安になる人も多い。このテーマ別特集では、もの忘れの原因や、将来の認知症にどうつながるのか、認知症を予防するにはどうすればいいのかについて、一挙にまとめて紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.