ストレスは糖尿の始まり?
ストレス解消に飲み食いする人が多いとなると、ストレスの多い人には糖尿病だって多いはず。ものすごく短絡的な考え方ですが、実際に調べてみたら、じつはストレスと糖尿病って、すっごく密接な関係にあることが分かったんです。
ドイツはミュンヘン、ここのヘルムホルツセンターというところで調査をした結果なのですが、職場での仕事で強いプレッシャーを感じている人では、あまりプレッシャーを感じていない人に比べて、2型糖尿病(肥満によって発症する、最も多いタイプの糖尿病)の発症リスクが45%も高かったのだそうです(*1)。これは5000人以上の労働者を13年間にわたり追跡調査した結果ですから、かなり信憑性は高いですよね。
一方こちらはカナダですが、オンタリオ州に住んでいる男性3691人と女性3752人(いずれも糖尿病でない人達です)を9年間にわたって追跡調査したというのですから、これも結構規模の大きな研究です。
調査の期間中に男性の10.3%、女性の6.9%が糖尿病を発症しました。さあ、この人達を、仕事がうまくいっている人とそうでない人とで糖尿病の発症率を比べてみたんですね。どうなったと思いますか。もっとも仕事がうまくいっていない女性の場合、糖尿病を発症した割合が2倍以上に増えていたんですって(*2)。でも、男性では明らかな差はなかったそうです。もしかしたら、女性の方がストレスによる影響が強く出るのかもしれないですね。
お腹が空くと喧嘩が始まる
これは女性に限らないのですが、ストレスによって様々なホルモンが過剰に分泌され、その結果血糖値を上げてしまうんですね。たとえばアドレナリン。これは副腎という臓器から分泌されるホルモンですが、ストレスを感じると分泌が高まり、血圧を上げたりすると同時に、血糖値も上昇させてしまいます。
あ、そうそう、話は変わるけど、このアドレナリン、じつは空腹になると分泌されるんですよ。お腹が空いてりゃ血糖値だって下がってる。そうするとアドレナリンが分泌されて血糖値を高めようとするんですね。でもアドレナリンが増えると闘争的になるから喧嘩の原因にもなっちゃう。オフィスで喧嘩が起きるのは、一番お腹が空いているお昼ご飯の直前、こうやって真っ昼間に喧嘩を起こさせるような血糖値のことを、「真昼のケットウ」という。
*2 Smith PM, et al. The psychosocial work environment and incident diabetes in Ontario, Canada. Occupational Medicine. 2012;62(6):413-419.
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