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石原良純の「日々是好転!ときどきカラダ予報」

城が元気になれば、人も元気になれる!

第27回…震災8カ月後の熊本城、石原良純さんが見たものとは

 石原良純

遠目には、大きな被害はないように思えたが…

 ただ不幸中の幸いだったのは、M6.5の前震の2日後にM7.3の本震が起きるという変則的な地震だったこと。

 4月14日夜。震源地に近い益城町では、震度7の激震に見舞われた。損害を受けた家屋に不安を覚えた住民は、避難所や屋外で寝泊まりするようになっていた。そこを襲ったのが16日未明の本震だ。2度目の激震に、かろうじて家を支えていた柱や壁が崩壊。住民は屋内にいなかったことで死傷を免れた。熊本地震の死傷者は、16日の本震でいきなり家屋の倒壊などに見舞われた阿蘇山麓などに集中しているのだそうだ。

 熊本市街に戻ると、地震の痕跡はほとんど見うけられない。歳末の街は多くの人出で賑わっている。市電が走る目抜き通りを進むと、小高い山に聳(そび)える熊本城の勇姿が見えてきた。

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遠目からは被害は少なそうに見えた熊本城だが、近づくと石垣が崩れ、長塀が倒れ、瓦もはがれ落ちていた

 遠目に見ると、天守閣とそれに連なる築城400年を記念して8年前に再建されたばかりの本丸御殿には、大きな被害はないように思えた。ところが、お城の足元まで進んで驚いた、石垣が崩れている、長塀が倒れている、櫓が宙に浮いている。

 ニュース映像の記憶に生々しい飯田丸五階櫓。僅かに残った石垣の隅石が、櫓を奇跡的に支えていたが、今は応急措置が施され、鉄骨に抱きかかえられ、どうにか形を留めていた。

 城内のほとんどの場所が立ち入り禁止区域となっている。崩れていない場所でも、石垣の表面が膨らんで、内部の地盤が緩んでいる。補修を必要とする石垣は、総延長の2割にも達するという。

天守に昇れるようになるまで3年、完全修復は20年後

 ヘルメットを被り、市の職員に石垣や堀割に不用意に近づかないようにと注意を受けて城へ登る。16日の本震で轟音と共に崩れ、転がった石垣の石は取り除かれ、通路は確保されている。後の修復で元どおり石垣の同じ場所に積み直すために、石には一つひとつ丁寧に番号が振られ、城内の広場に並べられている。

 崩落が進みそうな箇所は、鉄鋼や樹脂のシートで覆われている。それでも石垣の中段辺りが明らかにポッコリと膨らんでいるのは怖い、足を早めて先へと進んだ。

 本丸御殿下の地下通路を抜けると本丸広場だ。

 去年の夏休みに家族と一緒に訪れた時には、真夏の太陽の下、世界各国からの観光客で広場はごった返していた。通路から階段を昇り振り返ると、大天守と小天守が連なる熊本城の天守閣が、逞しい姿で出迎えてくれた。その姿に一番興奮したのは、何故か何度も城を訪れたことのある僕だった。

 「うわ~っ、うわ~っ、うわ~っ」

 思わず声が出る。去年とは違う。その呻き声は、傷ついた天守を悼む悲嘆の声だ。

 人気のない広場に、天守はひっそりと佇む。小天守の足元は大きく崩れ、観覧者入口は跡形もない。大天守も瓦がはがれ落ち、壁には無数の傷があちらこちらに浮かんでいた。

 「大天守に昇れるようになるまで3年。20年後には完全修復します」。熊本市の職員は、静かだが力強く決意を語る。

 そう、僕よりも熊本の人の方がよほど、この惨状が堪えているのだ。それでも、ここでしょげている場合ではない。人は、城を見上げて元気になれる。城が元気になれば、人も、元気になれる。まずは3年。そして20年。前を向いて進むのだ。

 さすが、熊本城。

石原良純(いしはら よしずみ)
俳優・気象予報士
石原良純(いしはら よしずみ) 1962年1月15日生まれ。神奈川県逗子市出身。慶応義塾大学経済学部卒。テレビ、舞台、映画など幅広く活躍。趣味はマラソン。自宅から10キロ先の所属事務所まで走って通うことも。

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