日経グッデイ

石原良純の「日々是好転!ときどきカラダ予報」

“マイコン刑事”が、インスタデビュー!?

第51回 インスタ用の写真撮影に熱中するも、年賀状には使えないものばかり

 石原良純

テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 「太陽にほえろ!」では“マイコン刑事”と呼ばれた石原さんは、実はコンピュータが大の苦手。スマホも使っていない石原さんが、滝沢カレンちゃんに教わって話題のインスタグラムに挑戦しますが…。

 サイバーセキュリティ担当大臣の話題が、連日マスコミを賑わしている。でも、僕にとってこれは人ごととは片付けられない。

 僕の学生時代には、パソコンなるものは存在しなかった。コンピュータといえば、大学の情報科学研究所に鎮座するもの。一台のスペースに、10畳間ほど必要と聞いていた。パンチカードを何枚も打ち抜いて、ようやく九九の掛け算ができるくらいの代物だった。

石原良純さんは、「太陽にほえろ!」で刑事・水木悠役、通称「マイコン刑事」として出演(写真右)。(新潮社『石原家の人びと』に掲載された写真)

 それでも、僕が配属された「太陽にほえろ!」の七曲署には、机の上に小型コンピュータが設置されていた。パソコンという呼称のない時代のこと、小型コンピュータを駆使して捜査に当たる僕は“マイコン刑事”と呼ばれた。

 同期で社会人となった僕の友人達が、海外と連絡を取り合っていたのはテレックス。時差のため深夜に出社してテレックスを打電する。そんな商社マンの姿を、ちょっと羨(うらや)ましくも思った。

 ところが、3つ歳下の弟が銀行員となった頃には、実家の彼の机の上にはコンピュータが置かれていた。

 夜遅く帰宅した弟が、部屋で何をカタカタやっているのかと覗いてみると「ポートピア連続殺人事件」(*1)。あとはワープロ機能ぐらいのものならば、やっぱり家にコンピュータは必要ないと安心したものだ。

*1 ポートピア連続殺人事件はパソコン向け発売されたアドベンチャーゲーム。開発はエニックス(現スクウェア・エニックス)

 そんな僕の安心を外に、世の中にはジワジワとコンピュータのネットワークが広がっていった。企業では社員各々の席にコンピュータが置かれ、書類の作成も、連絡もコンピュータが中心となっていく。

総額40万円でアップルマークのパソコンを購入

 コンピュータに手を伸ばすか、伸ばさぬか。迷っていた僕が一念発起したのは、1991-92の冬休みのこと。自由業の僕らは、会社が面倒をみてくれるワケではない。イノベーションは、自らが計画し、自ら実行しなくてはならない。正月休みにハワイへ行くか、コンピュータを買うか。そこで僕がお金と時間を投じると決めたのはコンピュータ。冬休みは、どこにも出かけず、じっとコンピュータと時を過ごすことを決意した。芝公園近くのダイエーにある大きな家電売り場で買ったアップルマークのパソコンは、プリンターを含め周辺機器すべてで総額40万円と記憶している。

 僕にコンピュータのことなど、分かろうはずもない。マックを使う人は芸術系。ウィンドウズを使う人は実務系。そんな言葉に簡単に踊らされ、俳優の僕は当然マックに決めてしまった。

 実際のところ、今も昔も僕はパソコンの能力の10分の1も使えていないのだろうから、マックにしようがウィンドウズにしようが、変わりなかったに違いない。

 アップルマークの付いた白いダンボールを家に運び込む。一つ一つ丁寧に梱包を解いて、普段なら絶対に読まない取り扱い説明書を1ページずつ丹念に読み込んでコードを繋いでいく。電源を入れ、「ファーン」とパソコンを立ち上げるだけで丸1日かかった。

 手引き書どおりに作業をしても、すぐに画面はフリーズし、爆弾マークが現れる。それより驚いたのは、白いダンボールを捨ててしまったことを弟に叱られたこと。聞けば、精密機械のコンピュータは、修理に出す時のために、ダンボールは家にキープしておかねばいけないのだとか。

 爆弾にダンボール。コンピュータが便利とは、当時の僕には到底、思えなかった。

滝沢カレンちゃんに教えてもらいインスタデビュー!

 あれから30年近く。時代はパソコンからスマートフォンへと進化した。でも僕は、未だにガラケー。スマホの小さな画面では、いちいち眼鏡を掛けなければ、何が書いてあるのか分かりはしない。だから僕は、iPadを愛用している。

 しかし、ここに至ってTwitterもFacebookもやらない僕は、今度はSNSの世界から置いてきぼりを喰らいそうになってしまった。そこで番組で御一緒した、滝沢カレンちゃんに御教授願ったのがInstagram(インスタグラム)だ。

背景の橋は、筑後川河口に架設された「筑後川昇開橋」。全長507mにもおよぶ東洋一の可動式鉄橋。
北九州市若松区にて。背景の橋は若戸大橋

 番組企画で始めたインスタだけど、今はプライベートでも楽しんでいる。気に入った景色を見つけたらパチリ。画角の半分に自分の顔を入れるのが僕の流儀。「顔を入れなければ誰が撮ったのか分からないでしょ」と最初のカレンちゃんの教えを今も忠実に実践しているのだ。

 しかし先日、カレンちゃんに僕のインスタを見せたら、「なんで大きく顔が写っているの」と笑われた。時の流れとともに、インスタの映像もどんどん進歩しているのだとか。こりゃ、なかなかついて行けそうもない。きっと僕は、画面の半分に自分の顔を撮り続けるのだろう。

 そして、もう一つ。インスタ用の写真撮影に熱中するあまり、年賀状用の写真を撮るのを忘れていた。その年の、一番お気に入りの風景を年賀状にするのだが、年賀状用の写真は大きな景色の中にいる小さな自分。引きの画と決めている。筑後川に架かる旧国鉄佐賀線の昇降鉄橋も、異国情緒が漂う北九州・若松の街並みも、画面の半分に顔が写っていては残念ながら年賀状には使えない。

 さあ、2019年の年賀状はどうするのか。今年も「月曜から夜ふかし」(日本テレビ)で発表します。

 これも、絶対、何かヘン。

石原良純(いしはら よしずみ)
俳優・気象予報士
石原良純(いしはら よしずみ) 1962年1月15日生まれ。神奈川県逗子市出身。慶応義塾大学経済学部卒。テレビ、舞台、映画など幅広く活躍。趣味はマラソン。自宅から10キロ先の所属事務所まで走って通うことも。