コースの素晴らしさに救われたレース終盤
そんな作業はひととき現実を忘れさせてくれる。少しでもいい画を作ろうと思案を巡らしているとその間は足の疲れを忘れているものだ。
マラソンは後半が勝負。アドレナリンが分泌されて、自分はどこまでも走って行けるのではという幻想から足の痛みで我に返るのが20km過ぎ。
そこからの1km、1kmの長いこと。25kmの次は26km。当たり前のことがうらめしく思えてくる。26、27、28……、42まではまだまだ遠い。
ただ、このコースの素晴らしいところは30kmを過ぎると再び金沢駅に近づいてくれること。往々にしてマラソン大会にありがちな、後半はどこか遠くを勝手に走ってこいと言われているような疎外感はない。

40…41…42kmのボードが目に映った時、どんなに嬉しかったことか。突き当たりに競技場への進入ゲートが見えている。ゲートをくぐればホームストレッチ、最後の直線を走り切り、ゴール!

手元の時計をふと見れば、4時間59分39秒。どうなの、この記録。還暦前の最後のレースで。まっ、無事完走。めでたいとしよう。
あ~っ、足が痛い。

俳優・気象予報士
