テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 講演のため9月末に訪れた長野県・天龍村で、ジョギング、ダム、温泉を楽しんだ石原さん。無事講演を終えた石原さんに、もう一つ大きな収穫がありました。全国を股にかける石原さんが「驚嘆に値する」と絶賛したものとは?
川の湾曲部の山肌の僅かな平地に肩を寄せ合うように家が並ぶ天龍村の中心部を離れ、県道の坂を一気に駆け上がる。杉小立が途切れた向こうに、『平岡ダム』の勇姿が現れた。
9月の日本列島には、次々と南の海から台風がやって来た。秋雨前線の雲も、連日のように、大地に雨を降り注いだ。雨水を貯え切れなくなった山々が、沢という沢に水を吐き出した。そんな水の流れが集まった天竜川は、その昔の“暴れ天竜”の異名を取り戻す。水量に耐え切れないダムは、怒涛のごとく茶色く濁った水を放出していた。
天竜川水系は、日本の水力発電の宝庫。そして、長野県の最南端に位置する『平岡ダム』は、戦前に計画された天竜川水系のダムの中で一番大きく、高さ62.5メートルを誇る。
発電に使われる水は、ダム湖から地下トンネルを通って発電施設に送られタービンを廻す。普段は堰堤から貴重な水を放水することはない。連日の雨のおかげで僕は絶景に出会えた。
ジョギングシューズとウェアーがようやく役に立った
僕は地方へ出かける時、少し時間がとれそうならばジョギングシューズとウェアーを持参する。でも、この9月は雨降り続きで、運び損で終わることばかりだった。ようやく天龍村で、日頃の努力が実を結んだというわけだ。
9月25日の日曜日は、天龍村誕生60周年記念式典の記念講演の講師として招かれた。新幹線で豊橋へ。そこから乗り継ぐ特急は、日に2本しかない。到着後、講演まで時間が空くと知った僕は、早速、インターネットで現地調査に乗り出した。
まず、講演会場の見取り図を聞いて、風呂やシャワーがあるかをチェックする。なければ近隣の施設を探す。銭湯やスポーツクラブ、日帰り入浴可能な温泉があればベストだ。
天龍村の観光マップを検索すると、村営の『天龍温泉・おきよめの湯』を発見した。講演会場から、川を渡って山を登って約15キロといったところか。キロ6分ペースで、1時間半。それから風呂に入って戻ってくる。時間的にはギリギリ間に合っても、そこまで魂つめて走ったら、講演会どころではなくなってしまう。僕は、天龍村に遊びに来ているワケではないのだから。
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