テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! コロナ禍に入って新たなことに取り組んできた良純さんですが、ついに5000人の大聴衆の前で、これまで触ったこともないトロンボーンを演奏することに。楽器の組み立て方、持ち方から始まった練習の様子をつづっていただきました。
ある日突然、クラシックコンサートに出演することに

♪ ♭シー ラ ソ ファ ♭シ ド ラ ソ ♭シー ラ ソ ♭シー♪
頭の中を原稿書きの今も、『ボレロ』の音が駆け巡る。やばい、大阪城ホールの本番まで2週間を切ってしまった。
コロナ対策で入場者数制限をしても5000人という大聴衆の目の前で、僕がトロンボーンの音色を披露しなければならなくなったのはテレビ番組『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日)のおかげだ。そして、バラエティー番組が何の因果でクラシックコンサートに乗り出したのかは、もちろん、高嶋ちさ子さんのおかげ。
高嶋さんの事務所のマネジャーが、コンサートホールの空き物件を物色していたら、10月10日の大阪城ホールと11月19日の日本武道館の空きに目が留まった。大きなハコでいつものように12人のヴァイオリニストとSuper Cellists(※高嶋さんがプロデュースする複数のチェロ奏者)でコンサートするだけではもったいない、『ザワつく!金曜日』を巻き込んで大きなイベントにしてやろうと企画したのだ。
誰が何のOKを出したのか詳しくは知らないが、長嶋一茂さんも高橋茂雄さんも僕も、番組収録中に突然、コンサートの話を聞かされた。すると、ガラガラとワゴンに乗った数々の楽器が、ぼうぜんとする僕らの目の前に運び込まれる。どれでも好きな楽器を選んで期日までに練習しておけとは、甚だ乱暴な話だ。
僕はNHK教育テレビで講座を受けたことのあるウクレレに手を伸ばそうとしたが、タッチアウト。やるからには難易度の高い楽器に挑戦しなさいと、ちさ子さんにウクレレを取り上げられてしまった。
一茂さんはチェロ。高橋さんはアルトサックス。なんだなんだと僕がキョロキョロしているうちに、良純さんにはこれが似合うと、気が付けばトロンボーンを押し付けられていた。
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- トロンボーンの組み立て方から猛稽古