
この夏、名古屋のテレビ愛知でコスプレに関する番組に出演した。
名古屋は今や世界中からコスプレの聖地として、世界から羨望(せんぼう)のまなざしを向けられている。毎年8月になると世界各国で催される予選会を勝ち抜いたコスプレーヤーが名古屋に集まって、世界No.1を決める世界大会が開かれるのだ。期間中は世界中のコスプレーヤーと世界中からカメラを持ったコスプレファンが名古屋の街に溢(あふ)れる。
番組で日本の有名コスプレーヤーに、コスプレの極意を聞いた。コスプレとは、単に型をコピーすることではない。自分の愛するキャラクターの衣装から小道具まで思いを込めて手作りすることもコスプレのうち。ひとたび衣装を身に纏(まと)ったら、ビジュアルだけでなく全身全霊でそのキャラクターに成り切ることなのだそうだ。
だから、署長の制服を着た途端、僕もすっかり署長に成り切った。背筋が伸びて、いつもより1センチは身長が高くなっていたに違いない。
それは、大河ドラマで鎧(よろい)に身を包んだ時と同じこと。俳優は皆、コスプレが得意なのは間違いない。
最後のお仕事で、自動ブレーキ制御車を実体験

高輪警察署一日署長の最後のお仕事は、水族館の駐車場に展示されている自動ブレーキ制御車の視察。高齢者ドライバーのブレーキとアクセルの踏み間違いに対応するため、多くのメーカーがオートマチック車に後付けする制御装置を開発している。
僕も実際に車に乗り込んで、ブレーキをかけるつもりでアクセルを踏んでみる。思いっ切りアクセルを踏むと、一瞬エンジンは唸(うな)り声を上げるが、次の瞬間にはクラッチがスポッと抜けたようにエンジンは空回りして大人しくなった。
クラッチがめんどうだからノークラッチ車ができた。ノークラッチ車だと誤操作しやすいから、さらに新しい装置を取り付ける。
なんだかなぁ。発明、発見をし続けなければいけない文明生活は、便利なようで不便なのかもしれない。
ふと見上げた秋の空は、夏よりずっと青かった。
ウム、いかにも署長らしいエンディング。
俳優・気象予報士
