テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。前向きに生きれば、日々是好転! 今回は、石原さんがテレビやドラマの撮影現場で気付いた、最新科学についてご紹介します。
科学の今を探求する“アカデミ・ヨシズミ”
僕の一週間は、月曜日朝8時の『モーニングバード!』(テレビ朝日・ABC系列)で始まる。
朝の情報番組は、政治、経済、外交と様々な話題を取り上げる。MC の羽鳥慎一さんの隣に陣取る僕は、眉間に皺(しわ)を寄せ、沈痛な面持ちで論評を加える。
とはいえ、「○○さん、離婚の原因は夫にありますね」とか、「アザラシの××君、早く見つかるといいですね」とか、スタジオで胡座(あぐら)をかいているだけでは、いささか物足りない。ならば、スタジオを飛び出して自分の足で取材しよう。一週間の始まりを、より充実したものにしようと番組にお願いして作ってもらったのが“アカデミ・ヨシズミ”のコーナーだ。
二十一世紀は、科学の時代。最先端の科学の現場を訪ね、科学は今、社会のどのような問題に取り組んでいるのか。それに対してどのような研究がなされているのか。そして、その研究にはどのような課題があるのか。科学の今を探求するコーナーだ。
普通はなかなか入ることのできない企業や大学の研究室も、テレビの取材となれば足を踏み入れることができる。僕の好奇心を満たす絶好の企画なのだ。
科学する気持ちは、暮らしを冷静に見つめ直すこと
2011年4月の第1回の放送で取り上げたのは“放射線”。その年の3月11日に東日本大震災が発生し、福島第一原発の事故が起こった。放射能、放射性物質、放射線。今まで多くの人にとって遠い存在だった言葉がものすごく身近なものとなった。皆が恐れ、嫌悪の念を抱く。
でも、僕を含め大多数の人は二十世紀最大の発明である原子力に関して、何ら正しい知識を有していない。知らないから恐い。恐いから知ろうとしない。それでは科学の時代に生きる僕達は、あまりにも無責任ではないだろうか。正しい知識を得てから、現実に起こっている物事に判断を下そう。科学する気持ちを持つことは、自分達の暮らしを冷静に見つめ直すこと。そんな思いから“アカデミ・ヨシズミ”の初回が始まった。
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