テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 猛暑とコロナ禍の影響で、自宅で過ごす時間が多かったこの夏の良純さん。時間ができたのをいいことに運動に精を出したまではよかったものの、3つの健康トラブルに連続して見舞われる事態に。40代以上の方には人ごとではない、身につまされるエピソード満載です。
「真夏の早朝の入道雲」が意味すること
午前5時。自宅からリモートで番組出演するために早起きした。部屋のカーテンを開けて驚いた、南の空にオレンジ色に輝く入道雲が聳(そび)え立っていた。

積乱雲が発達するのは、夏の陽射しで地表面が暖められ強い上昇気流が発生する午後が多い。「山の天気は2時、3時」と子供の頃、高原学校で教わった。どんなに朝から晴れていても午後になれば上昇気流で雲が湧く。だから、午後の2時や3時になったら空模様に気をつけろということだ。
ところが、この日は朝っぱらから入道雲が聳え立っていた。そのてっぺんは高度1万数千メートルの成層圏まで達している。成層圏に頭を押さえつけられた雲は上空の南風に乗って筋雲となり、北に向かって流れ出してこちらに向かっている。
綺麗な雲ほどやっかいな気象現象を引き起こす。雲の下は土砂降りの雨に違いない。早速、気象庁のホームページを開いてみると東京の真南、神奈川県三浦半島には赤や紫の強いレーダーエコーが現れていた。午前6時までの1時間に半島の突端、三浦市では15mmの雨を記録していた。
朝のゲリラ豪雨。太平洋高気圧がしっかりしていれば、真夏の日にこんなことは起こらない。
この夏は、東京五輪が終わった途端、夏の景色が一変してしまった。3つの台風がウロウロと日本列島にやって来たかと思っているうちに真夏の長雨が始まった。台風が南の海から持ち込んだ、たっぷりと湿った空気に列島は覆われているから始末に悪い。日本各地で1週間のうちに半年分ともなる大雨をもたらした。
天気図の主役が台風から秋雨前線となり、すぐそこに秋がやって来るのかなと思っていたら大間違い。8月末は、再び酷暑に見舞われた。
僕の部屋の温度計は、この夏としては最高の34℃を表示している。僕の横ではゴーゴーと音を立てた扇風機がパワー全開。原稿用紙が飛ばないように、左手で必死に押さえながら原稿を書いている。
クーラーでもなければ、パソコンでもない。額に汗を滲ませ机に向かう僕の姿は、昭和40年代、小学校の夏休みの宿題にせかされていた僕と何ら変わりないから笑ってしまう。
この夏、僕を襲った3つの健康トラブル
進歩せずに笑ってしまうといえば、この夏の3つの出来事だ。
コロナ禍で都内ロケも地方ロケもままならず、以前よりも格段に僕には時間ができた。ならば運動してやろうと、やたらと街を走り回るようになる。
ゴルフ場に1日出かけていても体力が余っている。夕食前にもう一汗かかなければ、美味しくお酒が飲めないとジョギングウエアに今一度、着替えて街に繰り出す。
たっぷりと汗をかいて、風呂から上がったら計量タイムだ。体重計はほぼ40年ぶりに71キロ台を表示するではないか。テレビドラマ『西部警察』の全国縦断ロケで、大門軍団の夜の「おむすび地獄」にはまって、プックリと頬が膨らみ始めたあの頃に体が戻っていた。
と思っていたが、そんなに現実は甘くない。ハタチの体と還暦間近のオジサンの体では耐久力が違う。あの頃のつもりで連日、ホイホイと走っていたのが大間違いだった。
ある日、風呂上がりに左の鼠径(そけい)部に赤い点々が現れた。何かにかぶれたのか、虫にでも刺されたのかとその時は気にも留めていなかったが、翌朝には発疹は広範囲に広がっていた。その上、発疹がパジャマで擦れるとピリピリと痛みもある。
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- 走り過ぎ、飲み過ぎが災い?