テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 結婚して以来、初めて長期の夏休みを取った石原さん。家族でカナダに向かいますが、そこで時差ボケに。東京に戻っても時差ボケに悩まされます。そんな中、石原さんが見つけた“ほんの小さな真夏の発見”とは。

おいおい、まだ4時かよ。
夏休みのカナダ旅行から戻って5日も経つというのに、一向に時差ボケが直らない。前夜は沖縄の宿泊先のフィットネスルームで、1時間トレッドミルで走り込み、プールで十分に体をほぐした。酒だってオリオンビール2杯と紹興酒1杯に控えたのに。それでも、ぐっすりと寝れやしない。早朝から目が冴(さ)えてしまう。
この夏は結婚して以来、初めて長期の夏休みを取った。『羽鳥慎一 モーニングショー』も、『よ~いドン!』も、『アサデス。』も、『週刊ニュースリーダー』も、生放送は全部お休み。番組の収録も休ませていただいた。
仕事モードからパッと頭を切り換えて向かったのは、カナダ東部のトロント。ハワイやタイでもなければ、ニューヨークやヨーロッパでもない。なぜか、トロント。北米大陸でニューヨークを東京とするならば、トロントはカナダ最大の都市とはいえ青森といったところか。
野球好きならば、MLB『トロント・ブルージェイズ』。バスケット好きならば、NBA2018-19シーズン悲願の初優勝を飾った『トロント・ラプターズ』。トロントと聞いて思い浮かぶのはそんなところかもしれない。
旅先がトロントに決まったのは、カナダ人と結婚した義妹家族が住んでいるから。昨年の夏、日本から酷寒の地、トロントに引っ越した。
旦那のポールは、大学を卒業以来、仕事で世界中の街で暮らして来た。東京暮らしが世界で最高だと彼自身が一番、日本から離れ難かったようだが、娘二人の教育を考えカナダに戻る事を決意した。
“雪と氷に閉ざされた田舎街”と自分が生まれ育った街に戻る事に悲壮感を漂わせていたポール。だが、二十年ぶりに戻った故郷は案外、快適だったようだ。

アメリカ国境に近い都市は、カナダのIT産業の中心地として大きく発展を遂げていた。アメリカの大都市とひけを取らない都市機能に加え、目の前に広がるオンタリオ湖をはじめとする自然環境の良さ。そして、何といっても日本と同様に治安が良いことがトロントをより魅力的な街にする。多くの人が移り住み、街は拡大の一途をたどっているのだという。
とはいえ、2007年にドバイのブルジュ・ハリファに抜かれるまで世界一の高さを誇った553mのCNタワー以外にトロントにこれといった観光名所はない。だからタワーは殿様商売。447mの展望台『スカイ・ポッド』への入場料は5000円以上もする。
「トロント人は誰もいかないから、いつも空いている。351m部分のレストランに予約すればタダで入れるよ」と、トロントのタクシー運転手は展望台よりフランス料理を勧めてくれた。
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- 時差ボケがもたらしてくれた小さな発見