三日間禁酒した後の目覚めは格別だった
走るのは止めて、余った時間で鍼(はり)に行くことにする。瞬時に180度方向転換。案外、そんな僕の緩さが芸能界を生き残るには重要なのかもしれない。クーラーの効いた鍼灸院のベッドに寝そべりながら、僕は半端ない今年の夏を乗り切る方法を考えた。
まず、炎天下のジョギングは止めよう。番組前や、仕事と仕事の合間を無駄にしないように、隙あらば街に走り出していた。この暑さの中では自殺行為に他ならない。
そしてもうひとつ。禁酒日を増やそう。ただでさえ寝苦しい熱帯夜。いやいや、最低気温が30度を下まわらない超熱帯夜には、体の負担を軽くしてあげなければ。大酒飲んで寝入れば、内臓はアルコールを分解するためにフル稼働。長めに睡眠時間をとっても、体は回復しない。
早速、18日水曜日から、お酒を止める。仕事から戻って口寂しいと冷蔵庫からスイカを引っ張り出してカブリつく。ビールの喉ごしの爽快感にはかなわなくても、真夏の夜を半分ぐらいは楽しめる。
酷暑で弱っている体は、酒の力がなくても寝床に入れば簡単に眠りに落ちる。血管をいらぬアルコールが駆け廻らないから眠りも深く、質も向上する。夜中に喉が乾いて目覚めることもない。
18、19、20日と三日間節制した土曜日の朝は、なんと心地良かったことか。『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日系)の生放送に備えての朝4時起きも、目覚まし時計のピピッひとつでスッパリ目が覚めた。神棚の水を取り変えて、歯を磨いて、甘酒飲んで、トマトジュース飲んで……、朝のルーティンを軽いフットワークでこなせるようになる。
博多祇園山笠を見に福岡へ飛んだ
街も走れない。酒も飲めない。暑過ぎる夏は困りもの。それでも何か楽しみを見つけなければ、せっかくの夏がもったいない。

僕はこの夏、『博多祇園山笠』の追い山を見に、福岡へ出かけることにした。本来、追い山は博多の街に夏の訪れを告げる行事。年によっては、梅雨の最後の大雨に見舞われるなか、締め込み姿の男達がきらびやかな山車(だし)を背負って街中を駆け抜ける。今年は、季節の巡りが全国的に半月程も早い。すっかり夏の装いの福岡へ飛んだ。
7月15日早朝5時。「ヤーッ」と大きな掛け声と共に、櫛田神社の境内に七つの流れの山車が次々に押し寄せタイムを競う。
今年は、ちょうど三連休の中日ということもあり、777年続く伝統の祭りを見届けようと博多の街中に人が溢れていた。
やっぱり、夏は楽しまなくては。でも、暑い。
俳優・気象予報士
