日経グッデイ

石原良純の「日々是好転!ときどきカラダ予報」

「暑い暑い」と文句を言わずに、暑さを楽しもう

第35回…宗像大社を訪れた後は、スタッフと一緒に海辺でバーベキュー

 石原良純

テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 関東も先週梅雨が明け、いよいよ夏本番です。「暑い暑い」と文句を言わずに、暑さを楽しむのが石原良純流の夏の過ごし方。早速、九州で海辺のバーベキューを堪能しました。

3カ月も夏が続くのは御免こうむりたい

梅雨が明けた直後の東京の空。青というよりは水色、むしろ灰色に近い

 緑の田んぼ。青い空。湧き立つ真っ白な入道雲。これぞ正しく日本の夏の原風景。

 それは真っ赤な嘘。試しに夏空を見上げてみよう。湿気を多分に含んだ空は、青というよりは水色、むしろ灰色に近い。雲はおろかギラつく真夏の太陽の輪郭さえ覚束ない。

 一歩街へ踏み出せば、途端に汗が吹き出る。熱源は、頭を抑えつけ照りつけるお日様だけではない。ブロック塀にコンクリートのビルの外壁。足元からはアスファルト道路の輻射熱。上下、前後、左右すべてから身体は熱に晒される。

 頬に当たるそよ風。これも嘘。都会の真夏の空気はピクリとも動かない。漂ってくるのはクーラーの室外機の排気に決まっている。

 「早く梅雨が明ければいいのに」そんなことを宣う輩を、僕は虱潰し(しらみつぶし)に注意してきた。梅雨が早く明けて何が幸せなものか。ジメジメするのは梅雨も夏も同じこと。雨雲が空から消えてなくなれば太陽が輝き、ぐんぐんと気温が上がる。異常気象、気候変動、地球温暖化が懸念される最近、酷暑の夏が8月で終わる確率は低い。

 僕に言わせれば、9月は夏。一歩間違えば、10月だって半袖半ズボンで暮らす夏となりかねない。

 もちろん僕は夏が嫌いな訳ではない。ただ、3カ月も夏が続くのは御免こうむりたいということだ。

 でも、7月19日、関東では平年より2日早く梅雨が明けてしまった。というか、梅雨明け発表以前から連日真夏日のオンパレード。感覚的には、ずいぶんと前から夏は始まっていた。

 夏がやって来てしまったのだから仕方ない。こうなれば、僕が提唱してきたように、「暑い暑い」と文句を言わずに、暑さを楽しまねば。浴衣、ウクレレ、黒糖焼酎は、僕の真夏の三種の神器。もちろん、焼酎のロックグラスには、桃や葡萄を浮かべ、デザートと食後酒を同時に楽しむのも例年通り。去年は稼働しなかったビニールプールも今年は復活した。そして何よりも幸せだったのは、夏の初めに海辺でバーベキューをする機会を得たことだ。

世界遺産登録を記念して“宗像大社”へ

 『アサデス。九州・山口』は、その名の通り、九州と山口でKBC(九州朝日放送)が放送する平日朝の人気ローカル番組。僕は木曜日のレギュラーを務めている。せっかく、九州へ行くのならば、福岡のスタジオだけではつまらない。月に一度、九州・山口のどこかにロケへ出ることを志願した。

 以前、このコラムで紹介した九州の城巡り企画と平行して収録しているのが“60'sおやじ二人旅”。僕と同い年で福岡在住のミュージシャン深町健次郎さんと60年代生まれのおやじ二人が九州各地をブラリ旅するという、ユルーい企画だ。この夏は、世界遺産登録を記念して“宗像大社”へ出かけることにした。

 福岡県北部、玄界灘を臨む宗像市。その市街地にほど近いのが辺津宮。沖合10km、人が暮らす大島に在るのが中津宮。そこから更に50km。玄界灘の真っ只中、絶海の孤島の沖ノ島にまつられるのが沖津宮。天照大神の三柱の御子神をおまつりする三つのお宮の総称が“宗像大社”。

 一木一草一石たりとも持ち出すことを禁じた掟が今も厳密に守られる沖ノ島。太古の昔より神聖な島とされた沖ノ島には、今もいたる所に宝物が眠るという。ぜひとも、島を巡ってみたいものだが、世界遺産登録を期に一般人の立ち入りは禁止となってしまった。宗像大社信仰を今も伝える場所は、陸にもある。辺津宮の本殿から小高い丘を登ると杜の中に広がるのが高宮祭場。杜を山を鳥を神として崇め、祈りを捧げ、感謝を伝える場所なのだそうだ。

バーベキューは家族とよりも、スタッフと?

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お参りの後は、スタッフと一緒にバーベキュー。自ら釣ったキスと道の駅で調達した肉や野菜を堪能した

 お参りを無事に終えたら、実はここからがメイン・イベント。小さなボートで海に出てキスを釣る。釣った魚は、もちろん浜辺でバーベキュー。

 一時間、頑張って二人合わせて8匹釣れた。ド素人の二人にしては、まずまずの釣果だが、それだけではもの足りない。近くの“道の駅”で食料を調達し、豪華なバーベキューの宴が始まった。

 なにしろ九州各地は、野菜にも肉にもこと欠かない。地産地消の美味しい食材がゴロゴロ転がっているのだから。立派な肉や野菜に囲まれて、僕らが釣った小魚は肩身狭そうに網の上に並んでいた。

 ビールで乾杯し喉の乾きを潤したら、やっぱりキスから食べるとしよう。ちょっと焦げ目が気になるが、薄い塩味のタンパクな白身の味もおつなもの。心地良い潮風に吹かれながら食べれば、何でも数倍美味しくなる。

 番組に必要なカットをサッサと撮り終えたら、スタッフと一緒にバーベキュー。夏の初めにこんな贅沢な時間など滅多にあるものではない。

夏の初めにスタッフと過ごせた贅沢なひととき
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 夏の陽も西に傾き、神々が宿る島影へ落ちていく。夕凪の平たい海面に、一筋の黄金色の路が輝く。こんな景色を目の前にすれば、誰もが大自然に神を感じずにはいられない。最高、最高。

 でも、何が最高かって、帰りの運転を気にしなくていい。やっぱりバーベキューは家族とよりも、スタッフとかな。

石原良純(いしはら よしずみ)
俳優・気象予報士
石原良純(いしはら よしずみ) 1962年1月15日生まれ。神奈川県逗子市出身。慶応義塾大学経済学部卒。テレビ、舞台、映画など幅広く活躍。趣味はマラソン。自宅から10キロ先の所属事務所まで走って通うことも。