世界遺産登録を記念して“宗像大社”へ
『アサデス。九州・山口』は、その名の通り、九州と山口でKBC(九州朝日放送)が放送する平日朝の人気ローカル番組。僕は木曜日のレギュラーを務めている。せっかく、九州へ行くのならば、福岡のスタジオだけではつまらない。月に一度、九州・山口のどこかにロケへ出ることを志願した。
以前、このコラムで紹介した九州の城巡り企画と平行して収録しているのが“60'sおやじ二人旅”。僕と同い年で福岡在住のミュージシャン深町健次郎さんと60年代生まれのおやじ二人が九州各地をブラリ旅するという、ユルーい企画だ。この夏は、世界遺産登録を記念して“宗像大社”へ出かけることにした。
福岡県北部、玄界灘を臨む宗像市。その市街地にほど近いのが辺津宮。沖合10km、人が暮らす大島に在るのが中津宮。そこから更に50km。玄界灘の真っ只中、絶海の孤島の沖ノ島にまつられるのが沖津宮。天照大神の三柱の御子神をおまつりする三つのお宮の総称が“宗像大社”。
一木一草一石たりとも持ち出すことを禁じた掟が今も厳密に守られる沖ノ島。太古の昔より神聖な島とされた沖ノ島には、今もいたる所に宝物が眠るという。ぜひとも、島を巡ってみたいものだが、世界遺産登録を期に一般人の立ち入りは禁止となってしまった。宗像大社信仰を今も伝える場所は、陸にもある。辺津宮の本殿から小高い丘を登ると杜の中に広がるのが高宮祭場。杜を山を鳥を神として崇め、祈りを捧げ、感謝を伝える場所なのだそうだ。
バーベキューは家族とよりも、スタッフと?
お参りを無事に終えたら、実はここからがメイン・イベント。小さなボートで海に出てキスを釣る。釣った魚は、もちろん浜辺でバーベキュー。
一時間、頑張って二人合わせて8匹釣れた。ド素人の二人にしては、まずまずの釣果だが、それだけではもの足りない。近くの“道の駅”で食料を調達し、豪華なバーベキューの宴が始まった。
なにしろ九州各地は、野菜にも肉にもこと欠かない。地産地消の美味しい食材がゴロゴロ転がっているのだから。立派な肉や野菜に囲まれて、僕らが釣った小魚は肩身狭そうに網の上に並んでいた。
ビールで乾杯し喉の乾きを潤したら、やっぱりキスから食べるとしよう。ちょっと焦げ目が気になるが、薄い塩味のタンパクな白身の味もおつなもの。心地良い潮風に吹かれながら食べれば、何でも数倍美味しくなる。
番組に必要なカットをサッサと撮り終えたら、スタッフと一緒にバーベキュー。夏の初めにこんな贅沢な時間など滅多にあるものではない。
夏の陽も西に傾き、神々が宿る島影へ落ちていく。夕凪の平たい海面に、一筋の黄金色の路が輝く。こんな景色を目の前にすれば、誰もが大自然に神を感じずにはいられない。最高、最高。
でも、何が最高かって、帰りの運転を気にしなくていい。やっぱりバーベキューは家族とよりも、スタッフとかな。
俳優・気象予報士
