テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 6月半ばの梅雨とは思えないほどスカッと晴れた日曜日、オープンカーで湘南に向かった石原さん。初夏のザワつく浜辺で今年初めのマリンスポーツを満喫しました。

関東地方は、ほぼ平年並みの6月7日に梅雨入りしたが、西日本各地は記録的に梅雨入りが遅れた。過去、九州北部で一番梅雨入りが遅かった6月22日の記録が大幅に更新された。
梅雨入り後の東京には、冷たい北東気流が流れ込む。気温が下がってシトシトと雨が降る、いわゆる梅雨寒がやって来る。
学生時代、授業中の教室から初夏の青空をぼんやり眺め、週末には皆より一足先に海へ行ってやろうと思ったものだ。より早く、日焼けするのが格好良い時代だったのだから。ところが、そこで梅雨入り。急降下した気温に、半袖から伸びた腕をさすりながら、細かな雨をまき散らす灰色の空を悔めしく見上げたものだ。
でも、近年はこの梅雨寒の日が、著しく減っている。一昔前までは、西日本の梅雨は気温が高くて雨がザーッと降るザーザー型。東日本の梅雨は気温が下がって雨がシトシト降るシトシト型などと言われていた。
今年の東京は、気温が上がり真夏日を記録したかと思えば、翌日には道路に水が溢(あふ)れるほどの雨が降る。雹(ひょう)が降ったり、雷が鳴ったり荒れた天気となる。
シトシト降る雨の中に、あじさいの花を眺めればでんでん虫が大きな葉っぱの上をのんびりと渡ってゆく。そんな情緒はもはや、失われてしまったかもしれない。今や日本の梅雨の景色は、どこへ行っても熱帯を思わせるザーザー型になってしまったようだ。
オープンカーで湘南を目指す、それが学生時代の憧れだった

梅雨とは思えないほどスカッと晴れた日曜日、僕は車で湘南・逗子に墓参りに出かけることにした。ガレージのシャッターを開け、マイカーを出すのは3カ月ぶりのこと。ちょっと不安を抱きながらキーを回してみると、車はウンともスンとも言いはしない。車のバッテリーが上がってしまったのは3年連続のこと。二度と同じ轍(てつ)は踏まないつもりだったのに、またやってしまった。
JAFを呼んで、バッテリーチャージをしてもらう。1時間遅れで逗子を目指す。せっかくのドライブなのだから、幌を取っ払いフルオープン。風に揉みクチャにされながら、第三京浜を疾走するのが初夏の楽しみの一つだ。
オープンカーで第三京浜を駆けて湘南を目指す。そんな光景が僕らの学生時代の憧れだった。いい車の助手席にはいい女。日活映画ばりの昭和の先人達に見習いたいと皆、思っていた。
ところが、今、街を見回してみると車の幌を取っ払い、ドヤ顔でハンドルを握っているのはおっさんとお爺さんばかり。昭和のドライブ文化が令和の世には存在しないのは間違いない。
