ゴルフあってこその大先輩たちとの思い出
曲がりなりにもゴルフを嗜(たしな)んでいたことは、僕にとっては幸運なことだった。渡さん、舘ひろしさんと、10も20も年の離れた先輩と20歳の僕に共通の話題など、そうそうあるものではない。でも、ゴルフに年齢は関係ない。「良純、お前ゴルフやるのか」「はい、やります」。それだけで休みの日を楽しくご一緒できる。結果的には、仕事も休みも365日ご一緒することになってしまったが、それでもゴルフに連れていってもらえるのはうれしかった。
ゴルフ場への送り迎え。僕の車の助手席に座る渡さんは、車線変更を助けてやると窓を開けて大きく上半身を乗り出した。渡さんに驚いて隣の車が急停車するのが、ミラー越しに僕からも見えた。
渡さんのベンツを僕が運転することもあった。渡さんのお宅からひと角、ふた角、曲がったところで運転を代わることになった。左ハンドルの大きな車に不慣れな僕を、見るに見かねてのことだった。だから、僕が渡さんのベンツを運転したのは一度だけだった。
ゴルフの帰りは、当然、夕食会となる。焼肉、中華、イタリアン。どれも高級店に連れていっていただいたが、どこでもやっぱり食べ過ぎ。若者はひたすら出されたものを食べ続ける。最後には口から食べ物があふれ出そうで、ごちそうさまの挨拶もままならなかった。
しかし、これもすべてゴルフのおかげ。ゴルフをやっていたおかげで、数々の貴重な体験ができた。
40年のゴルフ歴で一番の自慢
当時の僕の憧れは、プロトーナメントの前日のプロアマ戦に出場すること。「フジサンケイクラシック」「三井住友VISA太平洋マスターズ」「サントリーオープン」、プロの競技と同様にプロアマ戦にも人気があった。プロアマ戦だけでテレビ番組として放映されていた。

プロアマ戦に招待されてこそ、一人前の芸能人。僕だけでなく、そんな風潮が確かにあったと思う。
石原プロと縁の深い宝酒造主催の「宝インビテーショナル」に始まって、僕は色々と参加する機会を得てきた。中でも印象深いのは「サントリーオープン」。サントリーのモルツ球団が全盛の頃で、アマチュアの参加者には大勢のプロ野球選手OBがいるなかで、272ヤードのドライバーをカッ飛ばしドラコン賞に輝いた。家に送られてきた商品のサントリーモルツ缶272本を1年間かけて楽しんだ。これが僕のゴルフ歴で一番の自慢かもしれない。
今年ゴルフ歴40年を迎える僕も、ご時世に乗ってこの春、空前のゴルフブームを迎えている。
もちろん、もう初心者ではないのだから、やたらとクラブを振り回せばいいというわけではない。ゴルフは打率。ナイスショットの確率を上げること。
と言いつつも、僕はクラブを振り回す。

俳優・気象予報士
