テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 石原さんにとって、飛行機の楽しみはなんといっても“お酒”。海外へのフライトはもちろん、東京-大阪間の短いフライトでも飲みまくったそうです。そんな石原さんも50歳を過ぎてお酒を控えるようになりました。ところが昔を知るCAさんは…。
飛行機に乗ったらいつも二日酔いになっていた
人間、50歳も過ぎれば何かしら進歩があるものだ。我ながら自分を“偉い”と誉めてしまうのは、飛行機の中で無闇矢鱈と酒を飲まなくなったこと。
その昔、海外ロケで異国の飛行場に降り立つと、世界中、どこの空港でも体調が悪かった。頭は痛いし、やたらと喉が乾いてる。入国審査の列にはいつもフラフラで並んでいたものだ。
機内の楽しみは、なんといっても食事。食事には酒がつきものだ。ジントニック飲んで、ワイン飲んで、デザート酒にも手が延びる。そのままベロンベロンで寝入るのだから、寝起きが爽やかなワケはない。寝不足、二日酔いで到着した空港で元気なワケがない。
気圧の低い高高度を飛行する航空機は、機体への負荷を軽減するために、機内の気圧を減圧する。地上気圧に比べて、20%程度、機内の気圧は低い。気圧が低いと、人間の体は地上にいる時よりも膨らむ。すると血管も膨らんで、血管を流れる血液の量が多くなる。胃で吸収されたお酒のアルコールが、セッセ、セッセと体の中を駆け巡る。結果、飛行機の中で人は地上より酔っ払い易くなるというわけだ。
酒飲みは、酔えば酔うほどに、雪ダルマ式に酒量が増える。増してや飛行機内はフリードリンク。タダと思えば、さらに酒量が増える。『ドランブイ』に『クワントロ』。甘いリキュールをたしなんだ僕は、口直しにブランデーまで頼んでしまう。
東京-大阪のフライトでも容赦せず
国内線でも、ファーストクラスやプレミアムクラスならば、お酒がタダだ。なかなかのお酒が揃っていたりもする。芋焼酎『森伊蔵』など、僕は日航機内でしかお目にかからない。
だから、東京-大阪なんて短いフライトでも、僕は容赦しなかった。東京-大阪間のフライトは、1時間ちょっと。水平飛行に機体が安定して、機内サービスが受けられるのは30分程度に限られる。その短い時間に酒飲みはその欲望を満たすため、精一杯に努力する。
努力は、搭乗以前から始まる。シートの予約は、一列目。機内サービスは前方から始まるのだから。だが、せっかく1Aに座っても、サービスが反対側のK列から始まることもある。そんな時、僕はさぞや恐い目でCAさんを追っていたに違いない。サービスは1Aからと航空会社は、はっきり決めておいてもらいたいものだ。
「お飲み物は」と聞かれたら、「シャンパンと森伊蔵のオンザロックをダブルで」が合言葉。シャンパンを飲み干し、次にCAさんにお願いして森伊蔵の到着を待つ余裕は大阪便には存在しない。
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