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石原良純の「日々是好転!ときどきカラダ予報」

石原良純 僕の体を大きく変えた一枚の織物

第45回 就寝前のストレッチで優しく深い眠りに付く

 石原良純

 これまた不思議なもので、5分もすれば痛みは和らいでくる。ここで両腕を頭の上に伸ばして、さらに上半身もストレッチ。なるべく、息を深く吸って、ゆっくり吐く。ストレッチでは呼吸法も大事。鈍い痛みが体中の細胞一つひとつを刺激して、薄ら汗が全身に浮かんでくる。

 待つことさらに5分。「もう、どうにでもなれ」と無我の境地に近づいた頃、“ポコッ”と体の奥で音が鳴る。骨盤のどこか奥の方、脊椎の一番下辺り。幼い時から悪い姿勢で癒着してしまった、それまで一度も動いたことのない関節が少し動くようになったと僕は推察している。

鍋島緞通が、僕のストレッチマット

ストレッチマットとして使っている鍋島緞通。佐賀で衝動買いした逸品です。

 56歳にして僕の体は大きく変わる。そのきっかけとなったのは、一枚の織物だった。それは、そんじょそこらの織物ではない。鍋島緞通(だんつう*1)の逸品だ。

*1 緞通は、模様を織り込んだ敷物用織物。

 お気に入りの緞通をただ敷いておくだけではもったいない。道具は眺めるものではない。使われてこそ真価を発揮する。仏壇の前の緞通に正座して、お経を上げるだけではもの足りない。「えい」とばかりに後ろに倒れてみたのが事の始まりだった。鍋島緞通が、僕のストレッチマットなのだ。

 緞通は、遥か中近東からシルクロードを伝い中国へ伝わった。遠くペルシャの地ではシルクのペルシャ絨毯は薄さが高価な条件だが、中国製の綿織物の緞通は毛足は長い。模様の入った厚手の織物が緞通。

 中国から日本へも海を渡ってやって来た。佐賀の鍋島緞通、大阪の堺緞通、兵庫の赤穂緞通が日本三大緞通と呼ばれるようになった。

 今も昔も緞通は高価な品。中でも鍋島緞通は、佐賀藩御用達となり一般への売買は禁止とされていたのだそうだ。緞通が敷きつめられるのは、御殿様の大広間だけ。将軍家や幕府への贈答品にも使われていたのだという。

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