テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 年度末の慌ただしいこの時期、テレビ収録後に特殊詐欺撲滅イベントに出席し、空路大阪に向かった石原さん。飛行機でガッツリ酒を飲んで、座席にiPadを忘れる大失敗を。個人情報がたっぷり詰まったiPadの行方は…。

3月25日に池袋駅で行われた特殊詐欺撲滅イベントに参加した。2016年度特殊詐欺撲滅キャラバン隊の隊長を一年間務め、警視総監から記念メダルを頂いた僕は、ゲスト出演を依頼されてのことだ。
今回のイベントは、警視庁と埼玉県警の合同開催。県境を跨(また)いでの共同作業は警察の世界では珍しいそうだが、それだけ特殊詐欺の犯罪被害が深刻化しているということなのだろう。

2016年当時は、劇場型詐欺がクローズアップされていた。息子役だけではなく、会社の上司や銀行員やら複数の人物がオレオレ詐欺の電話に登場するようになっていた。オレオレ詐欺から特殊詐欺と呼称が変わったのも手口の多様化によるものだ。
それが現在では、さらに手口は巧妙化している。一連の電話の後に警察官を名乗る男が登場し、おとり捜査に協力してほしいと金を持ち去る。金やカードを持ち去るのではなく、封筒に入れて自分で保管して下さいと金品を封筒に入れさせておいて、隙をみて封筒をすり変えて持ち去る。果ては、アポ電から強盗に入るという殺人事件に至る手荒な手法にまで被害は広がっている。
誰もが、自分だけは騙(だま)されないと思っている。

ウチの奥さんの実家にも電話がかかってきた。義母はウチの奥さんが交通事故を起こしたものだと、一瞬、相手の言葉を信じてしまったという。幸い、たまたま次女が帰省していたので、二人で顔を見合わせて気が付いたのだとか。独りきりだったら詐欺被害にあっていたかもしれない。
自分だけは騙されないと思ってはいけない。お金の要求には一切とりあわない。怪しい電話があったら、とにかく人に相談する。被害防止を呼びかける側は、手口が巧妙化するのに比べ、数年前と同じ言葉を繰り返し呼びかけるしか手がないというのが、残念ながら実情だ。
それでも、留守番電話や録音システムを固定電話に設置するのが有効な手立てのようだ。ちょっとの事なのだから面倒臭がらず、実践することが、詐欺はおろか凶悪事件から身を守る術に他ならない。周りの皆さんや、遠方に暮らすお父さんやお母さんに、ぜひ声を掛けて下さい。これ、元キャラバン隊長からのお願い。
特設ステージを離れ、駅頭で防犯グッズを手渡ししてイベントは無事終了したが、年度末の慌ただしい街と同様に、僕のこの日はものすごく忙しかった。