原因不明! ただ朝起きたら、腰が痛かったなんて…
2度目のギックリ腰は、テニスコートでの出来事。朝、ジョギングをして、昼は舞台のためにダンスのレッスン。夕方、残った時間にテニスコートへ出かけた。
夕暮れ時、僕より20も歳上のおじさんとシングルス・ゲームを楽しんだ。接戦もようやく僕のマッチポイント。ところが、最後の1ポイントがなかなか決まらない。「なんだよ、往生際が悪いな」とラケットを握る手に一段と力が入る。何度かデュースが続いた後のこと、ふんわりと上がったロブを追いベースラインに駆け戻る。振り返ってボールを見上げた瞬間に痛みが走った。往生際が悪いも何も、先に往生してしまったのは僕の方だった。
2度目のギックリ腰でも教訓を得た。走って、踊って、テニスをしたのがいけなかった。走って、ダンスの稽古があったら、テニスはやらない。一日に運動は、二種目までと決める。
植木鉢を動かそうとして。無理な体勢で荷物を持ち上げようとして……。なんやかやと、ほぼ5年に一度の割で腰を痛める。しかし、今回ばかりは勝手が違う。原因が思い当たらない。ただ、ただ、朝起きたら、腰が痛かったなんて。
柔軟体操を終えたら、朝風呂に入る。体がぽかぽかと温まったところで、腰を動かしてみると痛みが取れていた。念のために、午前中の空き時間に楽しみにしていたゴルフの練習場行きは止めにしておくことにした。
午後は、お台場のフジテレビで『ワイドナショー』の収録。ところが番組が終わって驚いた。椅子から立ち上がれない。テーブルに手をついて、腰をひねらぬように平行移動でスタジオを後にした。
翌朝、土曜日。早朝の『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日)の生放送を終えたなら、マラソン大会へ向かう前に、困った時の岡田先生頼み。神宮前鍼療所に駆け込んだ。針の鉄則は、痛くなったらなるべく早く治療してもらうこと。前日のうちに、訪ねなかったことを後悔する。
「体が冷えましたね」。岡田先生の見立ても、体の冷え。体が冷えただけで壊れるとは、50歳も過ぎれば老化は確実に進んでいるということだ。それでも先生は、マラソンは走れると太鼓判を押してくれた。でも、なんだか腰に違和感はある。とりあえず現地へ行って様子を見ることにした。
親父からもらった腰のコルセットのお世話に
2月26日、日曜日。僕が参加するのは、『世界遺産姫路城マラソン2017』。お城が真っ白な白鷲の姿に改修工事を終えたことを記念して、昨年から催されているシティーマラソンだ。お城の足元からスタートして、城内の三の丸広場のゴールまで42.195キロのフルマラソンだ。
朝、ホテルの部屋でクネクネと腰を動かしてみる。次に軽くももをあげる。どうやら、なんとかいけそうだ。そもそも、2カ月間の走り込みと、1週間の禁酒を無駄にするのは、いかにも惜しい。
そこで僕は、秘密兵器のコルセットを腰に巻きつけた。ウチには腰痛持ちの親父からもらった腰のコルセットがやたらたくさんある。もの持ちの良い石原家のこと、数十年の時を経て、親子二代にわたってコルセットのお世話になることにした。
午前9時、大会ゲストランナーの僕は、1万人の参加者の先頭に立ってスタートラインに並ぶ。微風、快晴、気温も上々の絶好のマラソン日和だ。
号砲一発、僕はスタートラインを跨がぬように横へ避ける。ノロノロ走ってエリートランナーの皆さんの邪魔になってはいけないから。自分と同じ走力のランナー集団を見極めて、約2分遅れでスタート。
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