テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 3月初旬に 「第一回鹿児島マラソン」に参加するため、鹿児島を訪れた石原さん。石原さんはこれまで、4時間を切ったのにコースが186m短かったり、まさかの腹痛で途中棄権するなどと、「サブ4」(フルマラソンで4時間を切るタイムで走る)の仲間入りを果たせないでいました。果たして鹿児島マラソンの結果やいかに…。
「第一回鹿児島マラソン」のため、ここへやって来た
桜島が笑っている。
西郷南洲公の終焉の地である城山の頂に建つ「城山観光ホテル」からは、鹿児島市街が一望できる。そして、市街地の向こう錦江湾を隔てた対岸に、褐色の山肌が猛々しい桜島が聳え立つ。
山頂に僅かに浮かぶ雲のために噴煙は確認できないが、その巨大な山体を眺めれば、時に鹿児島の街に轟音が轟き、視界を遮るほどの火山灰が降り注ぐこともうなずける。
桜島を間近に望むこの地にホテルを建てたオーナーは、鹿児島の街と桜島を、イタリアのナポリとベスビオス火山に見たてたのだそうだ。鹿児島市とナポリ市は、姉妹都市の関係を結び、以来、鹿児島は“東洋のナポリ”と呼ばれるようになったのだとか。いかにも昭和なストーリーだが、そんなことにお構いなく、錦江湾越しに桜島を眺める絶景に、誰もが見いってしまう。
その昔、『太陽にほえろ!』のロケで城山観光ホテルに滞在した叔父の石原裕次郎は、ロケから戻ると赤く夕陽に輝く桜島を肴に、早速、酒を飲み始めたという。夜も遅くなりスタッフが翌日に備えて部屋に戻っても、叔父は独りで飲み続ける。朝、ロケ隊が出発する時間にラウンジを覗くと、まだ飲んでいる。その日の夕刻、ロケ隊に“裕次郎、倒れる”の報が届いたという。詳しく聞けば、何も食べずにブランデーを飲み続け、お腹が空いて倒れたのだとか。裕次郎とブランデーと桜島、ここにも昭和なストーリーがあった。
鹿児島に来たなら、是非泊まりたいこのホテルの魅力は、まずこの景色。次に、温泉露天風呂。鹿児島市は県庁所在地でありながら温泉の街。市内に数ある銭湯も天然温泉だ。ビジネスホテルにも温泉大浴場が完備されている。でも、どうせ入るなら雄大な桜島をお供に温泉を楽しみたいものだ。朝、昼、晩と時につれ趣を異にする桜島を眺めながら、ゆっくりと柔らかな湯に身をひたすのは至福の時だ。
そしてもう一つ、僕の密かな楽しみは、朝食バイキングに設置されているソフトクリーム機。食後のデザートのフルーツの上に好きなだけソフトクリームを載せる。業務用ソフトクリーム機の重たいレバーを自分で引いて、思いのほかクリームが飛び出た分だけ、幸せが増すというものだ。
しかし、今回の滞在はのんびりとそんなことばかり言ってはいられない。僕は3月6日朝8時30分にスタートする、「第一回鹿児島マラソン」に参加するために、ここへやって来たのだから。
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- 最後の1週間は完全にアルコール・オフ