テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。前向きに生きれば、日々是好転! 日に日に暖かさを増し、待ち遠しい春がようやくやってきた! だが、毎年この季節になると悩まされるのが、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ…。そう、春は花粉症の季節でもあったのだ。
誰もが待ち詫びた、新しい一年の始まりなのに
辛い、辛い、辛い。
何が辛いって、花粉症に決まっているではないか。
窓から風に揺れる枯れ枝を眺め、今日も寒い一日と覚悟を決めて一歩外へ踏み出す、と頬打つ風が思いのほか柔らかいことに気がつく。
Spring has come
僕の頭に浮かぶのは、懐かしい現在完了構文。Springは、三人称単数だから動詞はhaveではなくてhas。中学校の英語の授業で、大きく口を動かし発声する中新井(なかあらい)先生の姿が蘇る。
新学期、新入学、新社会人を控え、梅の花が咲き、桜の蕾(つぼみ)が緩み始める季節。モノトーンの世界が淡く色づく。“春が来た”と実感する一瞬こそ、まさしく長く寒い冬を耐え忍んだ誰もが待ち詫びた、新しい一年の始まりだ。
タラリと流れ出た鼻水は滴となって膝上に…
そんな一瞬が、喜びから恐怖に変わってしまったのは、忘れもしない二〇〇三年の春のこと。
前夜、故・つかこうへい作、演出『ストリッパー物語』の紀伊国屋ホールでの公演を終えた僕は、四月からの新番組の顔合わせの食事会に参加していた。お酒も入り、話も盛り上がったところで、僕は鼻水がタラーッと流れ出たことに気がついた。でも僕は、公演終了後にカゼを発症したことに安堵していた。
