「慎太郎さんとは違う」と褒められたのか…
旅の始まりは、元旦の昼時の羽田空港。僕は早朝から正午までの生放送を終えて、真っ直ぐ空港へ駆け付けた。慌ただしい生放送から一転、のんびりと冬の日射しに包まれたお屠蘇(とそ)気分の空港が心地良い。
千歳到着後は、なぜかタクシーに乗らずに、エアポートライナーで札幌を目指す。長男・良将を電車好きに仕立ててしまった責任は僕にもある。彼が喜ぶならば重い荷物も僕が独りで引き受けて、鉄路を選んだ。
札幌駅に到着すると、「ここまで来たら」と意地になる。定山渓温泉にもっとも近い真駒内まで地下鉄で移動することにした。でも、地下鉄の車窓は真っ暗なのは当たり前。その上、車内はお正月を楽しんだ札幌市民で満員。さすがにタクシーに乗れば良かったと後悔した。
ホテルに到着したのは夕食間際になってしまった。ホテルの女将さんには過度の家庭サービスを、「慎太郎さんとは違う」と褒められたのか、呆れられたのか。やっぱり呆れられていたのだと思う。
やっぱり日本人は雪国よりハワイの方が好きらしい
旅の二日目は、ホテル内の大室内温泉プールから始まる。圧巻は三人乗りのウォータースライダー。大きな浮き輪に乗っかってグニャグニャ長い滑り台を一気に駆け下りる。最後はドッブーンと大波立ててプールに着水する。カーブの度に体が宙に浮き、最後は浮き輪から飛び出して天井に頭をぶつけるかと思った。
波の出るプールだってある。波に合わせてつま先でジャンプ。ハワイに行くまでもなく、ひとときの海水浴を楽しんだ。隣では樺太から来たというロシア人が「温かい、温かい」とはしゃいでいる。定山渓の温泉プールだって常夏なのだ。
午後は、小樽へ。定山渓ダムと朝里川ダム、二つのダムを眺めながらの山道は、ダム愛好家にとって最高のドライブとなる。雪深い山々に抱かれた冬のダムは、真っ白に雪化粧。どこがダムやら、どこが山やら、妻や子供の目には区別がつかなかったに違いない。
冬のダムより驚いたのは、冬の小樽の街には外国人観光客が溢れていたこと。右からも左からも日本語は聞こえてこない。やっぱり日本人は雪国よりハワイの方が好きらしい。
日本人旅行客の少ない石原裕次郎記念館はガラガラだった。いくら石原裕次郎が昭和の大スターとはいえ、三十年近く前に亡くなった日本人俳優のことを、中国人や韓国人が知っているワケはない。おかげで家族四人でゆっくり記念館を見学できた。
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