街で出会った小さなお宮から実現したツアー
走り出す前には、グーグル・マップで神社やお寺の位置を確認する。走り終わったらお参りした神社やお寺の由緒をこれまたグーグルで検索する。
神社の謂(いわ)れを調べると、おもしろいものに出くわすことがある。昨年の秋、大阪のホテルでも時間を見つけた僕は早速、街に走り出た。淀川土手で汗を流した帰り道、あらかじめ目星を付けていた長柄八幡宮にお参りした。
いつものようにホテルの部屋に戻って調べてみると、長柄八幡宮は山城国(京都府南東部)の石清水八幡宮から御神体を分霊されたのが起源とあった。続けて石清水八幡宮を調べてみる。ホームページの写真には朱の華麗なお社が緑深き山に点在していた。

「吾れ都近き男山の峯に移座して国家を鎮護せん」
こう告げて、大分の宇佐八幡宮から大神様が移り住んだといわれる格式の高いお宮なのだと知った。
お宮が鎮座する京都府八幡市の男山は、天王山と淀川を挟んで対峙する交通の要衝。都から見て南西方角に位置する裏鬼門にあたり、北東方角の鬼門にある比叡山延暦寺とともに、都と国家を護ってきたのだそうだ。
そして、皇室が先祖に対して祭祀を行う廟として、伊勢神宮とともに「二所宗廟(にしょそうびょう)」の一つとされている。伊勢神宮といえば、僕が40年間、欠かさずお参りするお宮。伊勢神宮に比肩するお宮となれば、一度訪ねずにはいられない。
昨年の師走、大阪の仕事終わりに石清水八幡と伊勢神宮を一泊二日で巡る、お参りツアーを敢行することにした。

偶然、街で出会った小さなお宮から、日本の国事にかかわる大きなお宮と縁が繋がった。
「犬も歩けば棒に当たる」ではないけれど、歩いてみる、走ってみる、旅をしてみれば新しい出会いや発見がある。
あ~あ、早く自由に旅ができるようになるといいなぁ~。
俳優・気象予報士
