
僕が持ち上げているのは10kgオーバーの一番美味しいとされるサイズ。3年ものともなると、大きいものでは30kg近くになるというから驚きだ。
漁港の岸壁で、足を一本切りとって潮の香りだけで食べるのがロケの定番だ。だけど、やっぱり薄切りにしてシャブシャブして食べた方が、ずっと美味しかった。美味しいものは、ちゃんと座って食べる。できれば、お酒も出して欲しい。これが僕の流儀。
天然もののホタテは、真冬の今が旬。プリッと引き締まった大粒の身を、贅沢にフライにして卵でとじるホタテ丼。ベストシーズンに現地に足を運べばこそ食べられる逸品だ。寒い時期には寒い所に出かけてこそ最高の食材に出会える。そんな僕の流儀が、今回も正しいことが証明された。
北の海ではヒラメもデカい。大きくても味は繊細。お造りはもちろん、フランス料理と融合して食べてもらおうと東通村では地域の料理屋さんが結集して、ヒラメ料理を一大ブランド化している。ヒラメづくしならぬ、ヒラメのフルコースだ。
そして、僕が一番驚いたのはアンコウ。アンコウといえば茨城が有名だが、なんのなんの北の海の深海にすむアンコウの美味しいこと。漁港のすぐ目の前が大陸棚の“ドン深”な海。岸から眺める目の前で漁船が大きなアンコウを引き上げる。

引き締まっているが脂が乗った身を、少し厚めに切って握り寿司にする。アン肝を少し白身に載せて一口で口に放り込む。これも旬の現地ならではの離れ業。風間浦村のアンコウが、この旅の僕の一押しかもしれない。早速、お取り寄せしてしまった。
しかし、1月8日の緊急事態宣言以来、こんな楽しいロケもすっかり足止め状態となってしまった。スタジオ収録は、ソーシャルディスタンスを取って、アクリル板を設置し、換気の時間を入れて行われている。それでも自由な時間が沢山できた。だからといって、自由にどこかへ行けるわけでもない。
せめてジョギングならばと、昨年来のご近所の神社仏閣巡りが続いている。走っては拝み、走っては拝みの日々だ。
- 次ページ
- 街で出会った小さなお宮から実現したツアー