日本人もお伊勢さんにもっと目を向けて欲しい
僕の常宿は、近鉄電車の路線際にあり、その向こうにJR鳥羽線の機関区を見下ろせる『伊勢パールピアホテル』。どこか悲し気な、鉄道夜景を眺めるのも、僕のお伊勢参りに欠かせぬワンシーンだ。
お参りするならば、空気がピンと張りつめた朝の早い時間がいい。朝食を食べ終えたなら、直ぐに徒歩で外宮を目指す。伊勢市駅前から真っ直ぐ延びる参道は、この10年で整備が進んだ。
世界中で日本の良さが見直されている。外国からのお客さんだけではない。日本人にもお伊勢さんの素晴らしさに目を向けてほしい。
外宮のお参りが終わったら内宮へタクシー移動。内宮の敷地は広大で、細かい砂利が歩きにくい。上等な皮靴ならばキズがつくことも覚悟しなければならない。だから僕は、ソールのやわらかいヒモ靴で出かけることにしている。
宇治橋を渡れば、その先はお伊勢さんの神聖な世界。巨木の森をぬう参道に、木漏れ日がシャープな線を描き出す。ゆっくり、大きく、呼吸しながら、ジャリッ、ジャリッと一歩ずつ歩みを進める。参道が森に突き当たると左手に立派な石段が見えてくる。その上が、内宮の本殿だ。
二礼、二拍手、一礼。
今年も、無事にここへやって来ることができた。また、来年も元気に来よう。
元旦から頑張って早起きしても、お酒も飲まずに真面目に暮らしても、災いが向こうからやって来ることもある。人知の及ばぬこともある。困った時の神頼み。いやいや、僕の場合は困る前から、ちゃんと神頼み。年に一度のお伊勢参りは、心の安定に欠かせないので。
ちなみに、2月もお伊勢さんはすいているそうだ。ぜひお出かけあれ。
俳優・気象予報士
