テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。何事も前向きに生きれば、日々是好転! 今年の新年を六本木のスタジオで迎えた石原さん。撮影後、“親子水いらずの男2人スキー行”のため志賀高原に向かいます。そして、30年ぶりにスキー場で酒を飲まぬ一夜を過ごしました。
2年連続で六本木で“初日の出”
「はい皆さん、携帯で撮影してもかまいませんよ」
漆黒の富士山のシルエットの遥か向こう、東の空から昇る“初日の出”が映し出されたモニターを指差して司会の羽鳥慎一さんは言う。晴れ着姿の出演者は、ひな壇席から身を乗り出してシャッターを切った。
2年連続で僕が“初日の出”を眺めたのは港区六本木のテレビ朝日のスタジオから。ハワイに行けなくても、元旦から仕事があるのは、今年もつつがなく新年を迎えられたということか。

昨年の元旦は、波乱の幕開けだった。今年と同じ朝6時からの生放送、枕元で鳴り響く電話の音で僕は起こされた。不愉快に目覚まし時計に目をやるとなんと、5:00を示している。年の初めの初仕事からして、大ねぼうしてしまったのだ。
テレビ局から迎えのタクシー・ドライバーが、時間になっても家から出て来ない僕を心配してプロデューサーに問い合わせてくれた。僕は、滅多に鳴らない固定電話の音に驚いて飛び起きたという訳だ。
取るものも取り敢えず、局に駆け込む。正月のめでたさもあり、皆さん笑ってくれてはいたが、全くもって面目ない。はなはだ情けない仕事初めとなってしまった。
親子水いらずの男2人スキー行
昨年に比べれば、今年は余裕を持ってモニターの“初日の出”を眺めることができた。番組は、12時までの生放送。放送終了後、8階の大会議室で新年会。1時間程度歓談したら、タクシーで家まで送ってもらう。車には待っていてもらって、素早く服を着替えて東京駅へ送ってもらう。正月休みの志賀高原に出発というのも昨年と同じスケジュールだ。
ただし、今年のスキーは僕と長男・良将のふたりきり。長女・舞子は2月の中学受験に備えて塾の正月特別講座がある。妻も毎朝の弁当作りに家に残らねばならない。2人にすまないが、親子水いらずの男2人スキー行、となった。
男2人のスキー行は、気合が入っている。ガンガン滑ることになる。年末には、良将のヘルメットを新調するために、30年ぶりに2人でスキーショップに足を運んだ。
その昔、シーズン直前に神保町界隈に出かけるのは、スキーヤーの年中行事だった。目当ての品が少しでも安い店を探して何軒もはしごする。そして、年の瀬に活気立つ街並みを、買ったばかりの板やウェアを誇らしげに掲げて闊歩(かっぽ)した。
もちろん、当時はスキーショップ巡りはデートコースにもなっていた。
彼女に着てもらいたいスキーウェアは、やっぱり白かな。だって、原田知世ちゃんも着ていたし……。スキーの全盛期、『私をスキーに連れてって』(*1)時代を知る者には、思い当たるふしがあるはずだ。