記録的な雪不足だったけど、元旦はなんとかスキーを楽しめた
この正月休みに出かけた志賀高原は、記録的な雪不足に見舞われていた。例年ならば一面の銀世界のはずが、熊笹の緑のジュータンや凍結しない池の青白い水面が山のあちらこちらに顔を覗かせていた。
それでも、志賀の山々は奥が深い。本州の多くのスキー場が正月営業を断念していたのに比べれば幸せだ。ことに、僕の本拠地、『熊の湯スキー場』は志賀高原の奥座敷。ゲレンデは全面滑走可。深々と雪降る大晦日を迎え、元日には新雪滑走を楽しめた。
その上、『熊の湯』にはその名のとおり温泉が湧く。それも、飛びきり上等の硫黄泉だ。「玉子が腐ったような」と臭いを嫌がる人もたしかにいるが、一度、慣れてしまえばこんなに素敵なお湯はない。
『熊の湯ホテル』の大浴場は、屋外かと思うほど寒さが裸身にしみる。密閉空間にすると、温泉のガス性分で目まいを起こしてしまうというから仕方ない。見れば蛇口の金具は、全て湯気の強いアルカリ性分で黒く腐蝕している。
ザッと掛け湯をすると、ヒェッと飛び上がるほど湯は熱い。冷えた体のせいもあるが、湯そのものもかなり熱い。そこで湯舟にツマ先を尖らせてソーッと体を沈めてゆく。肌のヒリヒリが全身にまとわり付いて、やっとお尻が湯舟の底に着いたなら徐々に体の力を抜いてゆく。フーッと一つ、深く息が吸える頃には、すっかり体がお湯になじんで、臭いも熱さも気にならない。

「♪ババンバ、バンバンバン♪」と鼻歌の一つも口ずさめば、それこそ雫が天井からポタリと落ちてくる。
風呂から上がっても、一旦、暖まった体が決して湯冷めしないのもこの硫黄泉の大きな魅力の一つだ。ポカポカ、ポカポカ、体の奥からいつまでも心地良い熱気が湧いてくる。
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