日経グッデイ

石原良純の「日々是好転!ときどきカラダ予報」

親娘そろって…何かと“骨が折れる”石原家

第4回 超音波診療器攻めが得意なトレーナーに2人でお世話に

 石原良純

テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。前向きに生きれば、日々是好転! 今回は、石原さんがテレビ出演をきっかけに知り合った、番組を陰で支えるフィジカルトレーナーとの出会いと、年末に愛娘が起こした一大事の顛末についてお届けします。

せっかくの正月休みをどうすればいいんだよ…

 大変だ、大変だ、大変だ。長女の舞子が骨を折った。

 御転婆娘(おてんば)の舞子は、小学三年生。『駒沢公園ランニングクラブ』の練習日。休み時間にも駆けずり廻り、鬼ごっこ。ホップ、ステップ、ジャンプで目の前の自転車を跳び越えようとして失敗。転倒したらしい。

 不用意な着地を余儀無くされた左足ではなく、自転車のサドルにからまった右足の甲にヒビが入ったというのだから、どんな勢いで自転車にぶつかったことか。子供のしでかすことは、大人には理解し難い。

 ランニングクラブのコーチが心配し、何度も電話をかけてきてくれた。お見舞いを持って、わざわざ家まで訪ねてくれた。練習中に怪我をしたワケでもなし、勝手にウチの“アホ娘”のしでかしたこと、どうぞお気になさらずに。今時の子供の親の相手をするのは、さぞや大変なことなのでしょう。大丈夫、僕はモンスターペアレンツではありませんから。

 それにしても、舞子の奴、年末の、ただでさえ忙しい時期に何してくれるの。家族みんなで楽しみにしていた正月のスキー旅行もおじゃんでしょ。「えきネット」を駆使してゲットした長野新幹線E7系のグランクラスのチケットも払い戻しとあいなった。せっかくの正月休みをどうすればいいんだよ。

 なんて、僕は取り乱したりはしませんでした。小学五年生の鉄道少年、ウチの長男、良将クンではあるまいし。踝(くるぶし)が埋もれてしまうほど腫れてしまった舞子の足首を見れば、早く何とかしてやりたいと思うのが親心だ。

ゲレンデのソリ遊びで得た2つの教訓

 僕の足首が大きく腫れ上がってしまったのは、大学三年生の時のこと。場所は忘れもしない、新潟県浅貝スキー場でのことだ。

大学三年生のとき、新潟県の朝貝スキー場で、酔った勢いでソリ遊びをして、見事に左足首を骨折。ソリの前側に乗っていた僕が、まさに骨折する寸前を捕らえた!
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 真っ直ぐ延びる一枚バーンのナイターゲレンデは、ソリ遊びにはもってこい。リフト営業終了後、ソリを担いでゲレンデに繰り出した。天辺(てっぺん)まで歩いて登って、二人一組でソリに跨がり用意、ドン。ザラメ雪が凍ったバーンに、ソリは思った以上にスピードが出る。獲物に狙いを定め、一直線に水面下を駆ける魚雷のようにソリは猛スピードで斜面を下る。グングン近づいてくるゲレンデ終点のレストハウスの直前で僕は足を着いてブレーキをかけた。

 ザバーンと雪煙りが上がったところで、僕の足がグキーッ。速度×二人の体重という加重が一気に、加わった僕の左足首はゲタ骨折。

 その時、僕が得たのは二つの教訓。

 「一つ、ソリ遊びはスキー靴を履いて行うべし」。硬いスキー靴なら踵を着いても、しっかりと足首を守ってくれたに違いない。

 「二つ、ソリ遊びは酒を飲んでしてはならない」。あの時、酔っ払ってさえいなかったら、小心者の僕はあんなにスピードを出さなかったに違いない。酒気帯び運転は、街でも雪山でも厳禁なのだ。

 翌朝、思いもよらぬほど晴れ上がった左足を引きずって、僕はスキー場を後にした。そんな時、ノークラッチ(=オートマチック)車の有り難みが身に染みる。ちょっと刺激が加わるだけでピリリと痛む左足を宙に浮かせ、僕は自分で車を運転して新宿を目指した。

ドラマにも登場した新宿の超一流の整体師

 摩天楼を見上げる古ぼけた街並。Gパン刑事(故・松田優作さん)は犯人追跡にアパートの外階段を飛び降りた。正しく七曲署管内の一角に、僕の頼りとする整骨院〝馬場マッサージ〟はあった。

 健康オタクのウチの親父が見付けた整体師の腕前は超一流。腫れた患部を触診すれば、身体の内の状況をピタリと当てる。

 「これ、スキーで折ったんではないね」

 酔っ払ってソリで折ったことが、一発でバレてしまった。

 「最近、お父さんは元気かね」

 患部を優しくマッサージしながら世間話。僕が一瞬、気を許した瞬間、バキキキキ。「ギャーッ」と僕が声を上げたところで治療は終わる。

 「歩いてみなさい」と先生に促され、僕は半信半疑で立ち上がる。「アイテテテ」。足に激痛が走る。

 「まだ、ちょっと早いか」

 治療初日の先生は、そう言って笑ったが、一週間で腫れは引き、一カ月後には松葉杖なしで歩けるようになっていた。

 先生が亡くなられて二十余年、馬場先生がご存命ならば、舞子を真っ先に連れて行くところなのに。

治療中の痛みが“チリリ”から“ズワーン”に変わる

 ところが僕は最近、ちょっと気になるフィジカル・トレーナーと知り合っていたのだ。ことの発端は、フジテレビの芸能界特技王決定戦『TEPPEN』という番組。そこでボーリング対決をすることになった僕は、ボーリングの練習に勤しんだ。急場凌ぎは僕の得意技なのだが、ボーリングのボールは、僕が思う以上に重かった。無理にカーブをかけようと手首を捻って、物の見事に腱鞘(けんしょう)炎。すっかり出場辞退かと思われたその時、登場したのが柴泰司氏だ。

番組でのボーリング対決に向けた練習で見事に腱鞘(けんしょう)炎になった時に、テレビ出演者を陰で支えるフィジカルトレーナーの柴泰司氏と出会った。まさか、その後すぐに娘がお世話になろうとは。
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 氏は、彼の『新春かくし芸大会』をはじめ、テレビ番組を陰で支える人物。演者の体が壊れれば応急処置を施して、何事もなかったかのようにカメラの前へ送り出す。それが氏の役割り。

 温灸マッサージに整体で、体をゆっくりほぐして正しい形に戻してくれる。さらに特筆すべきは、トラブルの急所を超音波診療器で攻めてくること。

 超音波は痛んでいない体の部分には、ホンワカと温もりを感じる心地良さ。ところが、筋が違っていたり、炎症を起こしたりしている部分に当たると、チリッと身を焦がす恐ろしい痛み。まるで焼き火箸を当てられたようだ。痛みに堪えて照射を続けると、痛みは“チリリ”から“ズワーン”に変わってくる。ズワーンと体の奥に染みる痛みは、体験した者でなければ理解出来ないかもしれない。

 しかし、そのズワーンに効果がある。ズワーンと超音波が当ってのたうち廻った分だけ、治療の前と後では患部の動きが格段に変わる。

 幸い氏の時間が取れて、舞子も治療を受けることができた。僕と同様、ズワーンと痛みが染みて、ヒイヒイわめいている。それでも、子供でもその効果が実感できるのだろう、厭(いや)がらず次回の治療を待っている。

 いつかは部活やら何やらで子供らも氏のお世話になる時がくるとは思っていたが、こんなに早くその機会がやってくるとは。もちろんレントゲン検査をしてもらったりする西洋医学と整体などの東洋医学の組み合わせが、治療の最善策と僕は考える。

 舞子、早く足を治せ。

石原良純(いしはら よしずみ)
俳優・気象予報士
石原良純(いしはら よしずみ) 1962年1月15日生まれ。神奈川県逗子市出身。慶応義塾大学経済学部卒。テレビ、舞台、映画など幅広く活躍。趣味はマラソン。自宅から10キロ先の所属事務所まで走って通うことも。