テレビ界きっての多趣味人で、博識の石原良純さん。50代で人生により磨きをかける日々の中で感じている、カラダのこと、天気のこと、そしてニッポンのこと。前向きに生きれば、日々是好転! 今回は、石原さんがテレビ出演をきっかけに知り合った、番組を陰で支えるフィジカルトレーナーとの出会いと、年末に愛娘が起こした一大事の顛末についてお届けします。
せっかくの正月休みをどうすればいいんだよ…
大変だ、大変だ、大変だ。長女の舞子が骨を折った。
御転婆娘(おてんば)の舞子は、小学三年生。『駒沢公園ランニングクラブ』の練習日。休み時間にも駆けずり廻り、鬼ごっこ。ホップ、ステップ、ジャンプで目の前の自転車を跳び越えようとして失敗。転倒したらしい。
不用意な着地を余儀無くされた左足ではなく、自転車のサドルにからまった右足の甲にヒビが入ったというのだから、どんな勢いで自転車にぶつかったことか。子供のしでかすことは、大人には理解し難い。
ランニングクラブのコーチが心配し、何度も電話をかけてきてくれた。お見舞いを持って、わざわざ家まで訪ねてくれた。練習中に怪我をしたワケでもなし、勝手にウチの“アホ娘”のしでかしたこと、どうぞお気になさらずに。今時の子供の親の相手をするのは、さぞや大変なことなのでしょう。大丈夫、僕はモンスターペアレンツではありませんから。
それにしても、舞子の奴、年末の、ただでさえ忙しい時期に何してくれるの。家族みんなで楽しみにしていた正月のスキー旅行もおじゃんでしょ。「えきネット」を駆使してゲットした長野新幹線E7系のグランクラスのチケットも払い戻しとあいなった。せっかくの正月休みをどうすればいいんだよ。
なんて、僕は取り乱したりはしませんでした。小学五年生の鉄道少年、ウチの長男、良将クンではあるまいし。踝(くるぶし)が埋もれてしまうほど腫れてしまった舞子の足首を見れば、早く何とかしてやりたいと思うのが親心だ。
ゲレンデのソリ遊びで得た2つの教訓
僕の足首が大きく腫れ上がってしまったのは、大学三年生の時のこと。場所は忘れもしない、新潟県浅貝スキー場でのことだ。
真っ直ぐ延びる一枚バーンのナイターゲレンデは、ソリ遊びにはもってこい。リフト営業終了後、ソリを担いでゲレンデに繰り出した。天辺(てっぺん)まで歩いて登って、二人一組でソリに跨がり用意、ドン。ザラメ雪が凍ったバーンに、ソリは思った以上にスピードが出る。獲物に狙いを定め、一直線に水面下を駆ける魚雷のようにソリは猛スピードで斜面を下る。グングン近づいてくるゲレンデ終点のレストハウスの直前で僕は足を着いてブレーキをかけた。
ザバーンと雪煙りが上がったところで、僕の足がグキーッ。速度×二人の体重という加重が一気に、加わった僕の左足首はゲタ骨折。
その時、僕が得たのは二つの教訓。
「一つ、ソリ遊びはスキー靴を履いて行うべし」。硬いスキー靴なら踵を着いても、しっかりと足首を守ってくれたに違いない。
「二つ、ソリ遊びは酒を飲んでしてはならない」。あの時、酔っ払ってさえいなかったら、小心者の僕はあんなにスピードを出さなかったに違いない。酒気帯び運転は、街でも雪山でも厳禁なのだ。
翌朝、思いもよらぬほど晴れ上がった左足を引きずって、僕はスキー場を後にした。そんな時、ノークラッチ(=オートマチック)車の有り難みが身に染みる。ちょっと刺激が加わるだけでピリリと痛む左足を宙に浮かせ、僕は自分で車を運転して新宿を目指した。
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- ドラマにも登場した新宿の超一流の整体師