クイズ番組や健康バラエティー番組の司会を中心に、今も第一線で活躍するキャスターの草野仁さん。70歳を迎えてますます輝きを増す秘密はどこに隠されているのだろうか。いつまでも“苔(コケ)ない男”であり続ける、草野流のスーパーエイジング術。今回は、草野さんが日々、コツコツと続けている2つの習慣についてです。
驚くほど簡単な健康法は毎日の食事にある
そもそも無理な計画や厳しいルールをつくったり、自分が好きものを断ち切ったりしてまで、健康の維持・増進に努めることは不可能に近いのではないのでしょうか。いくら健康に良いと言われようが、つらい運動やおいしく感じない食事を新たに生活に取り入れても、大概は長続きしないものです。
私自身の経験から言えば、驚くほど簡単に取り組める身近な健康法とは、“ほどほど”に食事に気を付けることだと思います。体をつくる源は何より食事ですし、誰もが毎日食事をとるのですから、実践しやすいという長所もあります。
私だって決して極端なことはしていません。既にこのコラムでもご紹介したストレッチやダンベル(『毎日1時間の運動で「健康寿命」を延ばす!』をご参照ください)は、趣味のようなものなので人一倍やっていますが、それ以外は健康法というのが恥ずかしいほど、ごくごく普通の生活をしているだけです。朝は30分程度の散歩をして、日々そこそこ頭を使い、食事をとり過ぎないように心掛けるぐらいでしょうか。
でも、そうした些細なことの積み重ねが、長い目で見るとものをいってくるのかもしれません。
身に付いた習慣は発想の転換で変えられる
食事については、2年ほど前からご飯の量を少な目にしています。きっかけは、私が司会をしているテレビ東京系列の番組『主治医が見つかる診療所』でした。出演者の1人である姫野友美先生から、こういうお話を聞いたのです。
「体重を減らすには、消費カロリーよりも摂取カロリーを少なくすればいい。そこで、摂取カロリーのうちで大きな割合を占める炭水化物(糖質)を減らせば、体重を減らすことができます」
つまり、ご飯を少し減らすのが一番の方法だというわけです。これを聞いて、最初は半信半疑でした。ご飯を食べてこその日本人じゃないかと思って、それを減らすことに抵抗があったのです。それでも、試しにテレビ局が出してくれるロケ弁(お弁当)のご飯を、半分から3分の1ほど残してみることにしました。すると、どうでしょう。1年もしないうちに、4~5キロも減ったではありませんか!
その後、私の番組のゲストで出演したお笑い芸人のTKO・木下隆行さんや、元プロ野球選手で野球解説者の金村義明さんも、健康診断で惨たんたる結果が出たことで、同じく糖質制限にトライしてダイエットに成功しました。食べ過ぎていたご飯の量を減らし、寝る前の大食いを我慢することで、2人とも体重が減り検査の値が改善したのです。
糖質制限とは、そもそも糖尿病患者の血糖値コントロールに向くとされる食事法で、メタボ気味の男性にも効果があるとされています。まさに、私たちにぴったり合った方法だったのでしょう。ただし、一部で言われているような、炭水化物を「抜く」という極端な食事法はいいとは思えません。あくまでも、取り過ぎていた炭水化物を少し減らすことで、摂取カロリーを少し抑えるとの考え方がふさわしいのだと思います。
最初のうちは、ご飯が少なくてもの足りなかったのですが、すぐに慣れました。というのも、ご飯の量は半分にしても、そのほかの肉や魚といった副菜や汁物は残さず食べてもいいのです! 自分に身に付いた習慣というのは、ちょっとした発想の切り替えと、「些細なこと」の積み重ねによって、新たな習慣に改められることを実感しました。
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- 食事は週単位で考える緩いパターンを習慣に