食事は週単位で考える緩いパターンを習慣に
しかしながら、食事のとり過ぎに注意するといっても、簡単ではない場合もあるはずです。皆さんにもお付き合いがあるでしょうし、お客さんと伴にする席では、なるべく残さずに食べるのが礼儀というものです。私の場合、宴席や接待などの場では、カロリー、糖質がどうのとは考えません。食事は楽しく食べるのが一番。それが健康を保つ秘けつとも思っています。
「食べ過ぎたな」と感じたときは、翌日の食事を減らすようにしています。もし2夜続けて会食があったら、その後の2日ぐらいは食事を少な目にする。また、こってりしたものを食べたら、翌日はあっさりしたものを食べるようにする。大ざっぱですが、こうして1週間単位でバランスを取るように調整しています。こんな緩やかなパターンを習慣にしておけば、忙しいビジネスパーソンでも実行できるでしょう。食事の度に量やカロリーを気にしていたら、ストレスがたまってかえって健康によくないと思うのです。
食生活には気を付けるけれども、あまり几帳面になり過ぎない─。
これが食事に対する私の考え方の基本です。
「飲まんと出世できまへんで」と酒を注がれ3杯でダウン
ところで、誰が最初に言い始めたのか知りませんが、「生活習慣病」という言葉は実に素晴らしいネーミングだと思いませんか? 高血圧や高脂血症、そしてメタボリックシンドロームといった生活習慣病は、まさに食事や運動、睡眠、ストレスといった生活の習慣に起因しているものです。逆をいえば、ささいな習慣でも、毎日続けたり、心掛けていたりすることで疾患を防ぐだけでなく、心身を若々しく保つことも可能なのです。それだけの復元力を人間はそもそも持っているのです。
生活習慣病を防ぐには、良い習慣を取り入れるだけでなく、良くない習慣を遠ざける必要もあります。特に大人の嗜好品でもある、タバコとお酒が良くない習慣の筆頭ではないでしょうか。
タバコが『百害あって一利なし』というのは、どの医師も異口同音におっしゃいます。私も若い頃は、気取ってタバコをふかしていたこともありました。あるとき、家を出て局に行く途中で、「あれ? 火をちゃんと消したかな」と心配になり、仕事中も身が入りませんでした。幸い不安は杞憂(きゆう)に終わったのですが、こんな心配をするのはばかばかしいと思い、それ以来、1本も吸っていません。
それでは酒はどうかといった話になりますが、『百薬の長』とのことわざ通り、適量であればきっといいのかもしれません。なんだか曖昧な言い方になってしまうのですが、実は私はほとんどお酒が飲めないのです。若い頃から何度飲んでもビール1杯でほろ酔いになるのですから、酒に弱いのだと自覚しました。かつて野球中継でお世話になった元南海ホークス監督の鶴岡一人さんから、「酒を飲まんと出世できまへんで」と言われて、酒席を設けて頂いたのですが、たった3杯でダウンしました。ですから、酒で心配することありません。
朝の体重測定で食事と体重の関係がわかるように
酒もたばこもやらず、ここまで糖質制限のことを説いてきた私ですが、実は甘いものには目がありません。
長崎出身ですから、特にカステラは大好物の一つです。ただ、甘いものも食べ過ぎると、体のタンパク質を変成させて老化を進めたり、脂肪が増えることで「悪玉アディポサイトカイン」と呼ばれる動脈硬化を促進させるような生理活性物質を増やしたりするのだそうです。「甘くておいしい」と感じるものこそ大敵で、甘党の私も食べ過ぎないように心がけています。
70歳を迎えるようになってから私が新たな習慣にしたのが、毎朝体重計に乗ることです。長男に勧められたのがきっかけです。これまでも時々、体重を量ることはあっても、毎朝量るようにしたのはここ1年ぐらいです。
こうした些細なことでも習慣にしてみると、前日までの食生活と体重との関連がよく分かるようになってきたのです。例えば、前夜遅くに食事を取ると、翌朝にはてきめんに体重が増えています。何を食べれば体重が増えるのか、どんな食事だと増えないかも推測できるようになりました。
毎日続けられる“些細な習慣”をいくつか持つことは、自分の体の変化にいち早く気づけるサインにもなる。そうした積み重ねが、心身を長く健やかに保つ秘けつにもなるのだと思います。
(まとめ:二村高史=ライター)
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