第3条 「くよくよしない」~「割り切り力」で不安をなくす
精神的な面もまた、睡眠の質を大きく左右するのはご承知の通りです。私も、かつては寝る前に考えごとをして、眠れなくなってしまったことがよくありました。とくに、「明日の仕事はうまくできるだろうか」「いったいこの先どうなるんだろう」などと心配をはじめると、ドキドキして目が冴えてしまいがちです。
しかも、「早く寝なくては」「寝られない、寝られない、どうしよう」と思うと、それがストレスになり、悪循環に陥ってますます寝られなくなります。
しかし、私は年齢を重ねるにしたがって、すべてを割り切ることが大切だと感じるようになりました。これが快眠のための3つ目のポイント。「失敗したらそのときに考えればいい」「人生全体を考えれば、今の悩みなどささいなことだ」と考えるのです。先日、上梓した拙著『老い駆けろ! 人生』(角川新書)にも書いたのですが、この発想を私は「割り切り力」と呼んでいます。
悩んで解決できるならばいいのですが、それで解決できないのなら、くよくよしていても意味がありません。それならば、「なんとかなるさ」と割り切ったほうがずっと精神的にいいではありませんか。事実、ここまでの人生70年余り、何事もたいていなんとかなってきたものです。
睡眠不足の日があっても、1週間単位で帳尻が合っていればいい
ときには、仕事が忙しくて、睡眠時間が2、3時間しかとれないこともあるでしょう。そんなときの心得を、売れっ子で寝る時間もなかった歌手の宇崎竜童さんに聞いたことがあります。「2時間しか寝られないと思うからいけない。『あと2時間も寝られる』と考えるんです。そうすると、気が楽なんですよ」
これも一つの「割り切り力」です。どうも日本人は几帳面な人が多いので、「睡眠時間は6時間以上必要」と言われると、必ずそれを守らないといけないと考えがちです。
でも、「こうしなくてはいけない」と決めてしまうと、それが実行できなかったときに、大きなストレスを受けてしまいます。
普通の健康な大人ならば、一晩くらい寝なくても、ひどく健康状態を害するということはありません。4時間しか眠れなかったら、「まあ、4時間寝られたからいいんじゃないの」と考えて、次の日にたっぷり寝ればよいと思います。睡眠不足が2日続いたら、その分、2日間たっぷり睡眠をとればいいのです。「1週間単位で睡眠時間を確保しておこう」くらいの気持ちでゆったりと構えるのがいいのではないでしょうか。
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