ご承知のように、高齢期になると細胞を産生する力が弱まります。一説によると、20歳前後から筋肉の量は何もしなければ自然に減り始め、加齢とともに代謝も落ちていきます。それを食い止めるには、やはり筋肉を鍛えることが有効だとされています。
運動習慣を身につけるコツは「毎日頑張らない」こと
体を鍛えるために私が続けているのは、この連載の第1回目(関連記事:『毎日1時間の運動で「健康寿命」を延ばす!』)でもお話ししたように、エルゴメーター(自転車型トレーニングマシン)とダンベル5kgを使った筋トレです。さらに、自分で考案した8種体操、真向法体操の第一体操を取り入れて、柔軟性を保つことも心がけています。
読者のみなさんにも、できたら定期的に運動を続けて頂きたいと思いますが、私と同世代の人たちであればゆったりとした気持ちで続けることをお勧めしたいと思います。というのも、日本人は几帳面すぎる人が多いためなのか、「こうと決めたら最後までやり抜く」と考えて頑張り過ぎてしまい、結局、続かなくなりがちなのです。運動の習慣化に関して言えば、決めたことを全部やる必要はなく、できる範囲で続ければいいのです。
私のトレーニングメニューは1時間相当で組んでいますが、忙しい日が続けばすべて消化できるわけではありません。1時間が無理ならば30分、その30分が取れなければ10分、あるいは5分でもいいから続けてみる。もちろん、お酒を飲んで帰宅した日やとても疲れている日は、休むときもあります。たとえ毎日の日課として掲げていたとしても、「1週間トータルで4、5日はできたかな」というぐらいの姿勢が、運動を習慣化させるコツだと思います。今からアスリートを目指すわけではないのですから、気楽に考えればいいのです。
言うまでもなく、苦しいと感じているのに、無理して運動を続けるのもよくありません。私の判断の基準は、「苦しくなったらやめる。痛くなったらやめる」です。そうして2、3日休んでみて、良くなったと思ったら、少しずつ再開すればいい。私たちの世代はどうしても「苦しさを乗り越えれば自分のためになる」といった根性論、精神論的に物事を考えがちですが、運動で体を壊しては元も子もありません。先に申し上げたように、1週間のトータルで考えればこそ、無理をしなくても済む。QOLを高めようと運動をするならば、細く長く続けることが第一なのではないでしょうか。
